2019.10.18 22:00
愛の知恵袋 87
断捨離で家も心もスッキリさせよう
松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)
自宅と事務所の大整理に挑戦
9月上旬、帰省していた娘と孫が行ってから、ほっと一息ついたあと、私には次に挑戦しなければならないことがありました。それは、事務所の移転とわが家の大整理です。理由は、第1に、妻の遺品整理も含め、一度は全面的に家の整理整頓をしておきたいと思っていたこと。もう一つは、自宅が手狭であったため同じマンションに事務所として別の部屋を借りていたのですが、仕事も家事も一人ですることになった今となっては別々ではかえって不便なことが多く、経済的負担も大きいので、これを機に事務所を自宅に移そうと決心したからです。
今までは、家があまり片付いていなかったとしても、闘病しながら仕事やボランティアを熱心にしている妻の気持ちを考えて、私は文句を一切言わないことにしてきました。しかし、これからは私の責任で家を維持管理していくことになるので、自分のライフスタイルに合わせたスッキリとした家にしていきたいと思うのです。また、今やっておかないと、将来、娘と息子が片づけに苦労するに違いないからです。
まず、妻の部屋と居間の荷物を全て移動させたうえで、事務所の荷物を分別して処分したり自宅に運んだりすることに集中し、何とか期限の日までに事務所を明け渡すことはできました。これが第1ラウンドで、9月半ばから2週間かかりました。
その後、自宅に山と積まれた荷物の整理を仕事の合間を見て毎日やってきました。友人たちの助けも借りながら、すでに2トントラックで1回、軽四トラックで3、4回荷物を処分したのに、1か月経ってもまだ終わっていません。
思い出がこもった物ほど捨てにくい
仕事関係の本や書類も膨大ですが、妻と家庭を持ってから34年間、4人家族で暮らしてきた思い出の品物が棚や押し入れの奥までぎっしり詰まっているのですから、その量は想像を超えるものでした。もともと物であふれていた自宅をスッキリさせるだけでも大変なのに、更に、二つの家を一つにするわけですから相当の物を処分しなければなりません。
私の構想通りに全ての部屋を快適空間にするためには、予想をはるかに超えた時間と労力、根気、そして義理や思い出のある物でも捨てきれる決断力が必要なようです。
10月末になって、やっとメインの部屋と台所だけは片づけることができました。
たった一つでも部屋がきれいになると、不思議なほど心がスッキリとします。
しかし、喜ぶのはまだ早い。他の部屋が残っています。本や書類や家具や生活用品を相当整理して処分したつもりですが、到底収まりそうにありません。お手上げです。
ここは、やはり専門家の声を聴くしかないと考えて、「捨てる技術」や「断捨離」の本を読みました。そうすると道筋が見えてきました。
実は“片付け” “ゴミ処理”という課題は、大量消費時代を迎えた先進国のほとんどが直面している深刻な問題なのです。特に日本では物不足の時代は過ぎ、日常的に物がどんどん集まってしまう時代です。それを「もったいない」「まだ使える」「いつか使うかも」と思ってため込んでいると、あっという間にゴミ屋敷になってしまうのです。そんな部屋に住んでいるとモチベーションが下がります。イライラしたり、憂鬱になったりして、家族の関係が険悪になったり、病気になったりさえします。
“断捨離”で新たな生きかたが見えてくる
時の要請に応えて、「上手な整理法」や「収納術」に関する本やセミナーが主婦たちの間に広がりましたが、今やそれもむなしい抵抗です。もはや、収納スペースを増やしたり、収納の仕方を工夫するといった対処だけでは処理しきれないのです。
そこに彗星の如く登場したのが“捨てる技術”、“断捨離”の哲学です。
『断捨離』の著者、やましたひでこさんが説いているのは、「今、自分が絶対に必要な物以外は家にいれない…という“断”。家にあるもので今、自分が使用したいもの以外は全て捨てる…という“捨”。その二つを繰り返した時に訪れる物への執着から離れたすがすがしいゆとりの境地、それが“離”である」ということです。
また、『捨てる!技術』の著者、辰巳渚さんがすすめる秘訣20か条もあります。
《捨てるための考え方10か条》
1.「とりあえず取っておく」は禁句。
2.「仮に」はだめ、「今」決める。
3.「いつか」なんて来ない。
4.他人の「とっても便利」は私の「じゃま」。
5.「聖域」をつくらない。
6.持っているものはどんどん使う。
7.収納法・整理法で解決しようとしない。
8.「これは捨てられるのでは」と考える。
9.「しまった」を恐れない。
10.完璧を目指さない。
《捨てるテクニック10か条》
1.見ないで捨てる。(チラシ・カタログ等)
2.その場で捨てる。
3.一定量を越えたら捨てる。
4.一定期間を過ぎたら捨てる。
5.定期的に捨てる。
6.使い切らなくても捨てる。
7.「捨てる基準」を決める。
8.「捨て場所」をたくさん作る。
9.小さなところから始めてみる。
10.誰が捨てるか、役割分担を決める。
私もこれから何か月かかろうと、自分で納得のいくところまで“断捨離”を実行してみようと思っています。折しも師走の12月、皆様も取り組んでみませんか。