家族の絆づくり 74
自尊感情を高める二つの方法

ナビゲーター:阿部 美樹

「称賛」と「承認」

 「自尊感情」とは、自分を肯定的に見るだけでなく、「自分を大切に思う気持ち」「自分の存在に対する誇り」です。

 この自尊感情の高さが、人間関係をはじめとして人生全般にわたって大きな影響を与えます。

 それでは、自尊感情を高めるためにはどのようにしたらよいでしょうか?
 二つの自尊感情について紹介いたします。

 一つ目は、「称賛」など、他者との比較で相対的に優れていることが確認できた時に高まります。
 「すごい自分」「優れた自分」という「社会的自尊感情」です。

 二つ目は、「承認」など、「ありのままの自分」を丸ごと受け入れた時に育まれます。「自分らしさ」「唯一の自分」という個性の価値を感じる「基本的自尊感情」です。

 このように、称賛と承認で自尊感情を高めることができます。

歪な形での自尊感情の高め方

 社会的自尊感情は、成功したり、勝負に勝ったり、他者から褒められたりすれば高まりますが、うまくいかない時は低下するなど、不安定な感情です。

 一方、基本的自尊感情は他者との比較ではなく、家族など身近な信頼できる人との感情が共有できた時、ありのままの自分を受け入れる「自己受容」する時などに育まれます。

 基本的自尊感情が大切ですが、十分に育まれていない場合、社会的自尊感情で不十分を補おうとします。しかし、成功したり、勝ったり、褒められたりできない場合、自分よりも弱い存在を前にして、いじめたり、抑え付けたり、虐げたりすることなど、歪(いびつ)な形で優位に立とうとします。ゆがんだ自尊感情は、人間関係を破壊します。

 このように、称賛と承認という二つの自尊感情を育む要因がありますが、「褒める」という条件付きの評価や他者との比較よりも、「承認」という無条件の共感の方が、自尊感情を豊かに育むことができます。