家族の絆づくり 73
「短所是正」と「長所伸長」の効果

ナビゲーター:阿部 美樹

あなたは「弱み」と「強み」のどちらを意識している?

 自分自身を成長させるためには、「短所是正」と「長所伸長」の二つの方法があります。

 「短所是正」とは、自分の欠点や課題という不幸の要素を克服することを通して幸せを実現しようとする姿勢です。

 経営コンサルタントが企業の課題を見いだして改善方法を提示するように、個人の成長のためにも、気になる課題に注目してそれを克服しようと努力することです。
 しかし、頭では理解していても、「やれそうだ! なれそうだ!」という意欲よりも「不安や恐れ」が湧いてくるものです。
 課題を克服しようとした瞬間、「無理かもしれない!」という否定的な思いが出てくるからです。

 一方、「長所伸長」とは、自分の特技や個性という幸せの要素を伸ばしたり、磨いていこうという姿勢です。

 人は欠点を指摘された時より、長所を認められた時の方がうれしく、希望を感じ、前向きになるものです。
 成長する人の特徴は、自分の「弱み」よりも「強み」に注目し、それを生かそうとしています。

「三つの肯定力」を身に付けよう

 悩みの多い人は自分に対する否定的なイメージを持っていて、前向きに生きる人は自分に対する肯定的なイメージを持っている特徴があります。まさに、幸せになる能力として「自己肯定力」が必要だということです。
 そうすれば、自分を好きになり、自信を持つようになり、人生に対する肯定力が高まります。

 自己肯定力は、「他者肯定力」へと広がっていきます。周りの人の悪い所よりも良い所が見え、相手を認めよう、褒めようという姿勢になり、人間関係が良くなるでしょう。

 このような自己肯定力と他者肯定力を持つ人は、さらに「環境肯定力」も高まります。どんな境遇においても前向きに捉え、感謝する心が深まります。

 困難な時ほど落胆するのではなく、成功や幸せを思い浮かべ、うれしい時は有頂天になるのではなく実らない苦労や逆境を思い浮かべるなど、いかなる時も平常心を持ち続けることが大切です。

 そのためにも、肯定的な心を定着させたいものです。