シリーズ・「宗教」を読み解く 67
宗教対話雑感④
祈りは共鳴する

ナビゲーター:石丸 志信

 2009年にUPF(天宙平和連合)が主催するグローバル・ピース・ツアーが日本で開催された。大会に参加した人々の心を天に向け、心霊的な高まりをもって開会できるよう、宗教者の祈りでスタートした。

 その時、神道、仏教、キリスト教、イスラーム教の代表23人ずつが担当した。ただ、従来のように、それぞれが順番に祈るのではなく、各伝統を尊重しながらも祈りの共鳴が起こることを願って新しい形態で取り組んでみた。

 まず、神道に始まり、一呼吸置いてキリスト教の祈りが重なる。さらに仏教、イスラームと続く。おのおのが始めた祈りは、イスラームの祈りが終わるまで続け、「アーミン」で一斉に終わる。
 結果、一つの伝統に次の伝統が重なりながら、まるで四重奏を奏でるような祈りのハーモニーが生まれた。

 祈祷者にとっても新しい体験だった。
 一人の僧侶は、舞台に上がる時から、胸に熱い物が込み上げ興奮が収まらなかったという。

 神霊体験が起こった。会場の参加者も祈りの空気に包まれた。
 「宗教は一つに和合できるんですね」という感想が聞かれた。