2019.05.21 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 66
宗教対話雑感③
宗教者は共に祈る
ナビゲーター:石丸 志信
宗教対話の目指すところは相互理解を通した協力関係を築き、さらに、この世に調和をもたらすことだといえる。
そのために宗教者は共に祈ることができる。人間を超えた存在、神仏に対する畏敬の念はいずれの宗派でも変わらないからだろう。
25年くらい前だったと思う。世界宗教議会の開会式で、二人の宗教指導者が登壇して祈った。
一人は、禅宗の日本人僧侶、もう一人はネイティブ・アメリカンの女性指導者だった。
おのおのの伝統的な祈りをささげるのだが、同時にささげていくと、得も言われぬハーモニーが生み出されてきた。
宗教の和合とは、同じ規格にはめて画一化することではない。互いの美しさを尊重しながらおのおのの様式で奏でたとしても、調和することができるのだと実感させられた瞬間だった。
それ以来、さまざまな伝統を持つ宗教者が集う中で、ただ並列で個別の祈りを順番に祈るスタイルではなく、共に共鳴する祈りの在り方を模索している。