家族の絆づくり 62
「非言語の情報」を理解して相手を知る

ナビゲーター:阿部 美樹

目は口ほどに物を言う

 人間関係を深めるためには、「相手をよく理解する能力」が必要です。
 そのためには、会話において相手の話をよく聞くことが大切ですが、それ以外にも「非言語の情報」を通して言葉にならない心の本音を理解することが必要です。

 コミュニケーションは、表情や動作、声のトーン、大きさなど、口から発せられる言葉以外の「非言語」の情報もキャッチして行われています。それらの情報は、「心の鏡」として現れたものです。

 アメリカの心理学者メラビアンは、「コミュニケーションの割合は、言語7%、声の質38%、表情やボディランゲージ55%で行われている」と説明しているように、非言語の割合が大きいことが分かります。
 その中でも、「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、視線の動きを注意深く観察することは大切です。

視線の方向で心が見える

 視線は物を見るために動くだけでなく、考え事をしたり、イメージしているときも動きます。
 視線を注意深く観察すると、相手の考えを理解するヒントが見つかります。

 具体的には、視線が上向きに動くときは、「視覚的」イメージをしています。また、水平に視線が動くときは、音や声に意識を向けて「聴覚的」情報にアクセスしています。
 視線が下向きに動くときは、自分の「心の内面」との対話をしているか、「身体的感覚」にアクセスしている状態です。

 視覚は「目」を象徴しているので「上(に位置する)」、聴覚は「耳」を象徴しているので「横(に位置している)」、心を象徴する「胸」や「身体」は「下(に位置している)」と理解するとよいでしょう。

 例えば、「昨日はどんな服を着ましたか?」と質問されるなど、何か「視覚的記憶」をたどるときは、視線が「左上」に動きます。
 「今まで着たことのない真っ赤な服を着ている姿を思い浮かべてください」と言われたときなど、経験したことのない「視覚的創造」をするときは、視線は「右上」になります。

 ですから、将来の夢を描きたかったら、視線を右上に向けてイメージすることで、より明確なビジョンが浮かんでくるかもしれません。(次回に続く)