家族の絆づくり 61
「正しく生きる」よりも「楽しく生きる」

ナビゲーター:阿部 美樹

「正しさ」を求める不機嫌な人

 「あなたは正しく生きていますか? それとも楽しく生きていますか?」と質問されたら、どのように答えますか?

 真面目な人は、正しく生きることのみを意識しているかもしれません。

 「いかに正しく生きるか」と考えて、自分に厳しく努力を積み重ねることは素晴らしいことです。しかし、そういう人に限って、周りの人に対しても「正しく生きるべきだ」と要求する傾向があります。

 周りの人が正しく生きていない、努力していないと感じると、怒りや裁きの思いも出てきやすいものです。その怒りは、自分の価値観を中心とした「正義感」や「使命感」から出てくるのです。

 人間関係の中で、イライラしていたり、カリカリしていたりする人は、真面目に一生懸命に生きていたとしても、周りからは楽しく生きているようには見えません。

「楽しさ」を求める幸せな人

 幸せな家族とは、どのような人たちでしょうか?

 それは、「楽しく喜んで暮らす家族」であり、楽しさが溢れて「笑顔が絶えない家族」でしょう。

 恵みを受けた時は、誰もがうれしく楽しいものですが、それ以外でも楽しく暮らせたら本物の幸せ者です。

 何がなくても楽しく過ごし、困難や逆境にぶつかっても自分に必要な価値ある境遇として受け止め、楽しく過ごすのです。

 楽しい人と一緒にいると、周りの人まで楽しくなり、喜びは広がります。

 しかし、楽しいことだけ求めて生きていたら、自己中心的な心で好き勝手な生き方、怠惰な生き方になるのではと危惧する人もいることでしょう。

 「楽しい」という言葉は、「楽をする」と似ているので、楽しむことは努力をしないことと考えがちです。

 一側面からはそのように見えるかもしれません。しかし究極的な楽しさは「人を喜ばせること」「人を幸せにしてあげること」を通して、周りから「感謝される存在になる」ことです。

 人生をいかに楽しく、喜びの多いものにするかが大切です。