家族の絆づくり 57
嫌な現実や過去まで変える秘訣とは?

ナビゲーター:阿部 美樹

「現実=事実」ではない
 人間関係で葛藤したときや嫌な出来事に直面したとき、多くの人は相手を変えようとしたり、目の前の状況を変えようとしたりします。しかし、思ったようには変わりません。反対に、さらに葛藤が大きくなることもあります。

 相手や出来事を変えようとするよりも、自分の「視点を変える」「捉え方を変える」ことの方が容易であり、心も楽になります。

 「苦手なタイプの人」に葛藤したとしても、同じ人に「いい人」というフレームを掛けてみると、その人のいい部分に目が向けられるようになります。

 このように、同じ人や出来事に対しても、その捉え方は人によって違います。「現実=事実」ではなく、「現実=事実+捉え方」です。
 私たちは全てのものを、その人独自のフィルターを通して見ています。

 物事を見る視点を、それとは別の視点で捉え直すことができれば、それまで気付かなかった可能性や肯定的な思いが引き出されます。

過去には戻れなくても、過去は変えられる
 「うまくいかない」「気分がふさぎがちだ」など、一見、無意味で不必要な出来事があったとしても、全ての出来事には、必ず肯定的な意図があります。
 どんな出来事だとしても、自分に役立つ出来事として捉え直してみると、人生は変化します。

 また、出来事を変えなくても、その出来事の意味を捉え直すこともできます。
 例えば、「最近、何事に対してもやる気が起こらない」と悩んでいたとしても、「今は、充電期間で力を蓄える期間」という意味に捉えたらどうでしょうか。
 現状に対して楽な気持ちになり、明るい未来を描きやすくなります。

 また、現在のことではなく、過去の出来事に対しても捉え直しをすることもできます。
 例えば、「子供の頃、両親が共働きで忙しく、あまりかまってもらえなくて寂しかった」という記憶を持つ場合、その思い出を、「両親からうるさく指示されることなく育ったので、自主性や責任感が持てた」「周りの人の寂しさや悲しさを理解してあげられるようになった」など、肯定的に捉え直すことで、過去に対するこだわりが消え、人生が変化します。
 まさに、過去には戻れないけれども、過去を変えることはできるということです。