家族の絆づくり 54
人間関係がうまくいかない人の感情表現の癖

ナビゲーター:阿部 美樹

指示・命令と評価になる「YOUメッセージ」
 心地良いコミュニケーションを心掛けるためには、どのようにしたら良いでしょうか?
 伝えるメッセージには、大別すると「YOUメッセージ」と「Iメッセージ」という二つがあります。

 相手に感情的に怒りをぶつける人、上から目線で指示・命令する人、人間関係がうまくいかない人は、「YOUメッセージ」で発信している場合が多いものです。

 「部屋が汚いな、(おまえは)片付けろ!」「(おまえは)こんな遅い時間まで一体何をしていたんだ!」など、相手を非難するニュアンスがあり、相手も感情的になって売り言葉に買い言葉で、「うるさい!」と返してくるかもしれません。
 「YOUメッセージ」には、「あなたはこうあるべきだ、こうすべきだ」という断定的な響きや指示・命令をしているニュアンスが含まれてしまいがちです。

 また、「(あなたは)仕事が早いね」「(あなたは)よく頑張ったね」という褒め言葉も、上から目線の評価であり、発信する側の一方的な主観であって、「私は仕事が遅い」と思っている人にとっては、納得できない煩わしい言葉に聞こえる場合もあります。

肯定的な感情表現になる「Iメッセージ」
 一方「Iメッセージ」とは、発信する人の「私(I)」が主語になって発せられるメッセージを指します。

 相手が遅かった場合も、「(私は)何かあったんじゃないかとずっと心配していたんだよ」となります。非難が含まれておらず「心配だった」という話し手の素直な気持ちが表れています。きっと相手は「次からはもっと早く帰ってこよう・・・」と思うことでしょう。「(おまえは)部屋を片付けろ!」と言うよりも、「部屋を片付けてくれると(私は)うれしいんだけど・・・」と表現した方が、相手は冷静に、素直に受け止めることができます。

 職場における部下や同僚に対して、家庭における夫婦や子供に対して、サポートしてくれてくれることに対して、「やってくれて当たり前」と思うのではなく、「Iメッセージ」で「感謝」の気持ちを伝えてみましょう。

 例えば、「あなたのおかげで(私は)助かったよ!」「(私は)すごくうれしかった! ありがとう」「良く準備してくれた資料だったので、(私は)本当に役立ったよ」というような言い方です。

 「Iメッセージ」は発信する人の素直な気持ちを伝える言い方です。相手が幼い子供である場合、「お手伝いしてくれて、(あなたは)いい子だね~」と言いやすいところですが、「〇〇ちゃんが手伝ってくれたおかげで(私は)助かった。ありがとう」と言われた方がうれしいものです。

 「Iメッセージ」は「評価」するニュアンスが含まれていないので、相手にとって受け取りやすい伝え方になります。