家族の絆づくり 51
なぜ人は怒るのか?

ナビゲーター:阿部 美樹

キレる人が増えている!
 最近、危険な「あおり運転」が話題になっています。ささいなことからキレて攻撃的になり、危険な事故につながるなど、大きな問題です。

 他にも、お店や企業に対して過度なクレームを繰り返す「クレーマー」、学校に理不尽な要求を繰り返す「モンスター・ペアレント」、医療機関に理不尽な要求や暴言・暴力を繰り返す「モンスター・ペイジェント」など、キレやすい人が増えているのではないでしょうか?

 なぜ、イライラしやすい人、怒りやすい人が増えたのでしょうか?

 イライラしやすい人は、ものごとを自分の思い通りにしたい、コントロールしたいという気持ちがとても強い傾向があります。しかし、それらを完全に実現することはほとんどないので、満足感を得られず、常に欲求不満状態です。
 イライラしている本人は自分を被害者のように感じているかもしれませんが、現実的でない期待を抱き、不一致を起こしているのは他ならぬ自分自身です。

 また、自分に余裕や自信がないことが相手や環境に対しての過剰な期待を持つことにつながり、その期待と現実に大きなギャップが生じます。その不一致の違和感が怒りとなります。

怒る人の思考パターン
 感情はそれぞれの受け止め方、思考パターンによって決まります。つまり、感情は自分が引き起こしているのです。どんな考え方が怒りを感じやすいかというと、「〜べき」「〜なければならない」「〜してはいけない」という考え方です。
 「静かにすべきなのに騒いでいる!」「やらなければならないのにやらない!」という思考です。

 ものごとに対して100%を期待する完全志向であり、期待値が高過ぎると現実とのズレが生じやすくなって、ズレの分だけ怒りが大きくなります。
 正しいことをしているようですが、自分の期待に100%答えてもらいたいという相手に対する「甘えと要求」があります。

 ですから、イライラの解消のためには、期待値を少し下げればいいというわけです。
 「〜べき」ではなく、「〜だったらいいな」「〜したい」「〜してほしい」などに言い換えたらどうでしょうか?

 期待値を下げたら、少し怒りが小さくなります。
 また、怒って感情的になっている時は、大抵事実と感情がぐちゃぐちゃになっています。「〜に違いない」「〜はずだ」という思い込みや根拠のない妄想に基づいていることが多くあります。

 自分の心を見つめ直してみましょう。
(次回に続く)