家族の絆づくり 50
「主人意識」と意欲を高める

ナビゲーター:阿部 美樹

「よく教える」から「信じてサポートする」へ
 家庭や企業、学校などにおいて、相手を教育する場合、「どのように教えるか」「何を教えるか」という「教えるスキルアップ」をすることに力を入れます。
 しかし今の時代は、教えること以上に、「引き出す」ことが重要になってきているように思います。

 コミュニケーションのキーワードが「ティーチング」から「コーチング」に移りつつあるのです。
 ティーチングの主役は教える側ですが、コーチングの主役はコーチされる側です。相手の「主人意識」を高め、自発的に、意欲を高めるためにはコーチングが大切です。

 教えることに主軸を置いていた時代は、「知らないから知らせる!」「やらないからやらせる!」「できないからできるようにさせる!」という「否定的な人間観」がありました。
 しかし引き出すことに主軸を置くべき今の時代は、「できる人・やれる人・可能性がある人」という「肯定的な人間観」を持って信じてサポートすることが必要です。

聞いて質問する
 コーチングのためのコミュニケーションにとって大切なことは「聞くこと」と「質問すること」です。

 聞いてあげることを通じて、相手は考え方が整理されたり、知恵が湧いてきたり、心がすっきりとして意欲的になったりします。
 また、質問をしてあげることで、相手は深く考えるきっかけになったり、新たなことに気付いたりします。
 さらに、質問に対する答えを見いだすことは、自分自身が選択することになるので、当事者意識が高くなり、責任感を持って取り組もうとします。

 やらされるよりも、自らやろうとする方が良い結果が現れることでしょう。

 自分自身への質問も効果があります。自問自答する自己コーチングを繰り返すことを通して、新鮮なアイディアを見いだしたり、無限の可能性を自ら引き出したりします。