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幼児教育Q&A ~すぐに役立つ12のポイント(5)

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第5弾、『幼児教育Q&A~すぐに役立つ12のポイント』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

林敏子・著 林三男・監修

(光言社・刊『幼児教育Q&A~すぐに役立つ12のポイント』より)

5.しかる方法

【Q】
 子供を教育するうえで、しかることが多くなってしまうのですが、「しかり方」について、アドバイスをお願いします。

【A】
 そうですね。まず、よく理解してほしいことは、「しかる」ことと、「怒る」「怒鳴る」「威嚇する」「叫ぶ」ことは、違うということです。

 み旨、仕事、家事に追われている時などは、つい、自分の感情のままに、しかり飛ばしてしまいやすいので、気をつけなければなりません。

 なぜ、「しかる」ことが必要なのでしょうか? しかる理由は、子供に「何が正しいことで、何が悪いことか」を教えるためです。あくまでも、子供に「善悪を教えるため」に、しかるのです。一貫した教育理念に基づいて、しかることが理想的です。

 しかる時に、絶対に言ってはいけない言葉があります。「あんたはうちの子じゃない」「あんたは神の子じゃない」「出ていきなさい」。

 このような言葉は、言うことを聞かない子供を、一撃で、静かにさせることができるかもしれませんが、子供の心に傷を残してしまいます。

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 光の子園では、友達を大切にしない場合と、万物を大切にしない場合は、それを悪いことと見て、しかります。

 保育士には、しかり方として、「かーっとなったら、まず、一息入れなさい」「しかる前に祈りなさい」「しかったあとは、一緒に祈ってあげてください」と指導しています。

 自分の感情のまま、かーっとしかるのではなく、「神様だったら」と、一息入れて、しかるのです。

 相手のことを思ってしかる時、それは真剣そのものです。相手を恨んでいるからではなく、「正しいことを知ってもらいたい」という気持ちで、しかるのです。

 幼児期において、「しかる」ということは、とても大切なことです。「何が正しいことで、何が間違っていることか」をしっかりと教えるという点では、幼児期は、教育の最高の時なのです。

 例えば、隣の子の顔を引っかいたとします。その時、子供に、「引っかくことは、善(よ)いことか悪いことか」を問いただしてから、「それは悪いことだから、やめなさい」としかるのです。

 あまりけんかが激しければ、最初に「やめなさーい」と怒鳴ったとしても、最後には、なぜしかったのかを説明して、納得させるのです。

 しかったあとには、「悪かったことに対して筋道を立てて説明して、納得させ、愛してあげる」ことが、絶対に必要です。そのつど、諭すのです。善悪を教える、絶好の機会なのです。

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 ただがみがみしかっただけで、何も説明しないで、「反省しなさい」と押し入れに押し込めても、その子は、何を反省すればいいか分かりません。

 怒鳴りっぱなし、しかりっぱなしだと、子供は「何だか、うちのお父さん、お母さん、怒ってばかりいるな」と思うだけで、親子の間に溝ができてしまうことすらあります。

 たとえ、そのように幼児に対して愛情をもって諭したとしても、また次の日には、同じことをすることもあります。困ったことですが、それが幼児なのです。それでも、「きのう約束したよね。きょうは、きのうよりいい子だったね」と、諭し、褒めてあげるのです。こういうことを根気強く、親子の間で、何度も繰り返すのです。

 子供には、素直な子、頑固な子、行動的な子、すぐ手が出る子と、いろいろな性格の子供がいます。その子供の性格を知って、善悪を教えてあげてください。一律に同じ対応をしていては駄目ですね。

 幼児期の子供のいちばんの願いは、父母から愛を受けることです。

 愛情不足の状態が続くと、子供は爆発します。しかし、「愛が欲しい」と爆発するならば、幼児期のほうがいいのです。我慢に我慢を重ね、思春期に爆発したら、それを収拾することは大変です。

 幼児期は、我慢するいい子でないほうがいいのです。泣いたり、叫んだり、自分の情を素直に表すことができるほうがいいと思います。

 しかったあとは、必ず時間を取り、諭し、子供の心を愛で満たしてあげてください。

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 次回は、「生活習慣」をお届けします。