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続・夫婦愛を育む 23
教えに生きる

ナビゲーター:橘 幸世

 Blessed Lifeの人気エッセイスト、橘幸世さんによるエッセー「続・夫婦愛を育む」をお届けします

 NHKの番組、Eテレ『偉人の年収 How much?』(初回放送日:2025210日)で、ジョン万次郎の生涯が紹介されました。

 漁に出て遭難したジョン万次郎。アメリカ船に助けられ、しばらくアメリカで暮らした後、帰国して通訳などをした人、という程度の知識しかなかった私は、彼が偉人のくくりに入るとは思っていませんでした。

 番組を見て、その生きざま、志に大変感銘を受けました。

▲ジョン万次郎(ウィキペディアより)

 土佐の漁師の家に生まれ、14歳の時、家計を支えるため乗り込んだ漁船が遭難し、伊豆諸島の無人島に漂着します。
 そこで他の4人と共に143日間サバイバル生活した後、アメリカの捕鯨船に助けられます。

 捕鯨船で手伝いをする中、その賢さがホイットフィールド船長の目に留まり、船長の住むマサチューセッツ州に連れていってもらいます。養子のようによくしてもらい、教育も受けました。

▲ホイットフィールド(ウィキペディアより)

 日曜日、船長に連れられて教会に行った時のことです。
 牧師は白人でない万次郎が教会に入ることを許しません。「ここは白人の教会だ」と。

 これに船長は激怒します。

 「万人を愛せとキリストは教えているではないか」「こんな教会にはもう行かん」。

 彼は万次郎を受け入れてくれる教会を探して回ったのでした。

 神に仕える者ですら、当然のように人種差別をしていた時代、彼は異邦人のためにキリストの教えに生きたのです。
 “他者を助ける”ことをモットーにしていた船長の生き方は、万次郎に受け継がれます。

 こんな素晴らしい人物に助けられた万次郎は、何と幸運なのだろうと思いました。
 そしてその幸運は日本という国にも及ぶのです。見えざる手が働いていたと思わざるを得ません。

 再び捕鯨船に乗り込んだ万次郎は、その働きぶりから仲間の船員に推されて副船長になります(すごいことです!)。

 そんな中、心痛い話が彼の耳に入ってきます。
 日本近海で遭難したアメリカの船乗りたちが日本にひどい扱いを受けているというのです。
 アメリカとは外交・通商関係がなかったからでしょう。

 「自分はアメリカでこんなによくしてもらっているのに…」「日本は開国しないとだめだ!」「日本に帰って開国するよう訴えよう!」。

 そう決意した彼は船長に別れを告げ、西部の金鉱で働いて渡航資金をつくり、日本を目指したのでした。
 アメリカにとどまっていれば安定した生活ができたでしょうに、母国のためにそれを手放したのです。

 帰国し、母と10年ぶりに再会。土佐藩の旗本となり、通訳や藩校の教師となります。
 彼からアメリカの様子などを学んだ生徒の中には、やがて明治維新に大きな役割を果たす歴史的人物たちがいました。

 さらに、ペリー来航の際に、幕府に呼ばれて旗本となります。開国か否かの大激論の中、アメリカは友好的な国だという万次郎の言葉に、幕府は開国に傾いたのでした。
 陰ながら、日本の歴史に大きな役割を果たしていたのです。

 志を遂げた万次郎、職を退いて故郷に帰った後は、船長の教えどおり、困った人たちに手を差し伸べて生きました。

 私たちもたくさんの教えを頂いていますが、ホットフィールド船長に恥ずかしくないように生きていけたらと思います。


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