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青少年事情と教育を考える 286
トランプ大統領の教育・家族政策

ナビゲーター:中田 孝誠

 アメリカのトランプ大統領が就任して1カ月。
 今回は、教育や家庭、子供に関するトランプ政権の政策を取り上げたいと思います。

 最も注目を集めているのは、ジェンダーに関してバイデン前政権から大きく方針転換をしていることでしょう。
 トランプ大統領は1月の就任演説で、「政府の公式方針として性別は男性と女性のみ」であると述べ、10代の子供たちへの性別適合手術を規制する大統領令にも署名しました。

 共和党の政策綱領でも、「急進的ジェンダー・イデオロギーなど不適切な人種的、性的、政治的内容を子供たちに押し付ける学校に対して、連邦政府からの資金援助を打ち切る」としています。

 昨年日本で出版され話題になった『トランスジェンダーになりたい少女たち』によると、一部の州では学校が生徒の性自認や性的指向に関する情報を親に伝えることが禁止され、医療従事者などにより性別適合の治療も行われていました。

 同書には、子供に関わる重大な内容を知らされないまま物事が進んでいたことに苦しむ親たちの姿が描かれています。トランプ政権は、こうした事態に対して強い姿勢で正常化を求めたともいえます。

 共和党の政策綱領では、「若者の素晴らしい仕事と生活につながるような優れた幼稚園から高校をつくる」ことも謳(うた)われています。

 また、保守系シンクタンクとして有名なヘリテージ財団の政策提言『プロジェクト2025』(同財団は、主に共和党政権に対して政策提言などを行ってきました)には、DEI(多様性、公平性、包摂性)プログラムの廃止などのジャンダーに関する政策と共に、教育省の廃止や公立学校の選択範囲拡大が記されています。
 教育省を廃止し、学校教育を各州に任せるという方針だといわれています。

 そして『プロジェクト2025』の大きな柱として、「アメリカの生活の中核として、家族の重要性を復権させる」や「神によって授けられた個人が自由に生きる権利を確保する」があるとされています。

 ちなみに第1次トランプ政権では、その前のオバマ政権で重要な教育政策から除外されていた性的自己抑制教育を重視し、推進団体への予算措置を講じました(本連載102回、2020年2月21日)。

 今後、第2次トランプ政権で、教育や家族に関する政策がどうなっていくのか、注目したいと思います。

(『プロジェクト2025』については、英BBCのウェブサイト「『プロジェクト2025』とは」を参考にしました)