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ほぼ5分で読める統一運動 34
「世界平和教授アカデミー」と「科学の統一に関する国際会議」

稲森 一郎

 「世界を動かすのは、学者たちです。政治家たちが動かすのではありません。その国の政策を樹立するすべての分野で、主導的な頭脳の役割を果たす人は、有名な教授や学者たちです。その国の政策を遂行する人たちは、彼らの頭脳によってつくられたプログラムに合わせる人々なのです」(天一国経典『真の父母経』1007ページ)

 これは、文鮮明(ムン・ソンミョン)師が語ったメッセージの内容です。
 このような言葉を裏付けるように、文師は「世界平和教授アカデミー(PWPA)」をつくりました。

 文鮮明・韓鶴子(ハン・ハクチャ)夫妻は世界的な碩学(せきがく)たちに呼びかけ、世界平和実現のための各分野の研究と活動を支援するために、「世界平和教授アカデミー」を創立したのです。

 「世界平和教授アカデミー」創立総会は、197356日、教授招請「統一原理」セミナーや大学原理研究会の活動などを通してつながった教授ら163人が参加する中、ソウルで開催されました。

 「世界平和教授アカデミー」は各国に支部を置き、各国の会員は「世界平和のための学問的寄与」という共同目標のもと、相互の交流と協力を行ってきました。
 特に、世界平和をテーマに多様な学術セミナーを開催し、今日まで多大な業績を挙げてきました。

 日本では、1974928日に「世界平和教授アカデミー」が創立されました。
 初代PWPA会長に推挙されたのは、元立教大学総長の松下正寿氏。松下氏は、学者でありながら参議院議員も一期務めた経歴を持ち、また1967年の東京都知事選にも立候補するなど、政治に対する関心も高く、強固な反共主義の立場を堅持していたため、文師の思想と合致していました。

 創立大会において松下正寿氏は、学者の使命は「真理探究」と「虚偽との闘い」であると述べました。

 松下氏が述べた「虚偽との闘い」の意味は、1960年代、キャンパスで、社会で猛威を振るっていた共産主義運動との闘いです。
 日本が共産革命に呑(の)まれないためには、共産主義思想の虚偽性と闘う学者、知識人が立ち上がらなければならないということです。

 松下氏は、PWPA会長に推挙されたその重大な責任を引き受ける決意をそのように披露したのです。

 「今まで科学者たちと宗教圏が、怨讐(おんしゅう)になっていました。これを統一しようとすれば、まず世界の学者たちを糾合しなければなりません。ですから、『科学の統一に関する国際会議』と『世界平和教授アカデミー』を編成したのです。これらの学者と統一教会が一つにならなければなりません。そうしてこそ、宗教圏と政治圏が統一されるのです」(同、1007ページ)という文師の言葉は、統一運動の核心に触れたものであり、政治が変わるためには科学と宗教が糾合統一されることが重要であると看破しています。

 科学が宗教と一つになれない場合、すなわち、無神論科学あるいは唯物論科学が支配的になると、政治家もまた、宗教と距離を置いて無神論的政治(結局は共産主義政治)に傾くということです。

 科学の道と宗教の道は相反するものではなく、一致してこそ、正しい政治圏が生まれます。

 与党、野党を問わず、政治家が無神論的、唯物論的(物質万能、金銭万能の世俗主義)であれば、民主主義政治圏(宗教・信教の自由)は失われ、共産主義政治圏(宗教否定の政治)が国家を呑み込んでいきます。

 故に、「科学の統一に関する国際会議(ICUS)」と「世界平和教授アカデミー」は双子のように協調して、民主主義を守る運命にあるのです。