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誤解されたイエスの福音 11

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「誤解されたイエスの福音」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 パウロのイエス観は果たして正しかったのか。イエス・キリストの再臨期を迎えた今、聖書の記述をもとに徹底検証します。

野村健二・著

(光言社・刊『誤解されたイエスの福音』〈2011111日初版第1刷発行〉より)

第二章 イエスの本来の使命

二、摂理変更の根本原因となった洗礼ヨハネの変節

洗礼ヨハネの誕生
 神がイエスをどうして人類に送られたかということを考えるとき、欠かすことができないのが洗礼(バプテスマの)ヨハネの存在です。実際、マルコ、ルカ、ヨハネの三つの福音書は、イエスからではなく、ヨハネのことから福音を宣(の)べ始めています。これはイエスを中心とする神の摂理において、洗礼ヨハネがいかに重要な人物であったかを物語るものといえましょう。

 マルコはヨハネが荒野で「罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた」(マルコ14)ことから書き始め、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない」(同17)と、自分のあとから来られるメシヤがどれほど偉大な人かを強調しています。

 ルカによる福音書には、アビヤの組の祭司ザカリヤが、くじで当たって神殿の聖所で香をたいているとき、天使が現れて香壇の右に立ち、「あなたの祈(いのり)が聞きいれられ……あなたの妻エリサベツは男の子を産む……その子をヨハネと名づけなさい。……彼はエリヤの霊と力をもって、みまえに先立って行き、父(神)の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に備えるであろう」と告知することが最初に書かれています。しかしザカリヤは、妻があまりにも高齢であるためにその告知を信じません。すると天使は、「わたしの言葉を信じなかったから、……この事の起(おこ)る日まで、ものが言えなくなる」と言い、実際に口が利けなくなってしまいます。(ルカ1922

 ルカによる福音書によれば、その後、エリサベツは身ごもり、さらにその後、6か月目に、「御使(みつかい)ガブリエルが、神からつかわされて、ナザレというガリラヤの町の一処女(マリヤ)のもとにきた」。そうして、「あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」と告知します。そこでマリヤは「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」といぶかると、「聖霊があなたに臨み、いと高き者(神)の力があなたをおおうでしょう」と天使は答え、「あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。……神には、なんでもできないことはありません」と保証したので、マリヤは納得します。(同12638

 マリヤはさっそくお祝いに行かなければならないと、ザカリヤの家にはいってエリサベツにあいさつした。エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、その子が胎内でおどった。エリサベツは聖霊に満たされ、「あなたの胎の実も祝福されている」と言い、マリヤが「主(神)のお語りになったことが必ず成就すると信じた」ことを誉(ほ)め、マリヤは「主は、あわれみをお忘れにならず、その僕(しもべ)イスラエルを助けてくださいました」という感謝に満ちた長いあいさつをし、その後、マリヤは、エリサベツのところに3か月ほど滞在してから、家に帰った。(同13956

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 次回は、「イエスと洗礼ヨハネの事件」をお届けします。


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