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ほぼ5分で読める勝共理論 57
天皇について⑤
天皇が祭司として行う宮中祭祀

編集部編

元旦に国家国民のために祈る天皇
 前回まで、天皇の存在について説明してきました。

 簡単に言うと、天皇とは支配者ではなく祭司である、国家国民のために神の子孫、人間の代表者として祈る存在である、ということです。

 今回は、天皇が祭司として行う宮中祭祀(さいし)について紹介したいと思います。

 宮中祭祀というのは、文字どおり宮中で行われる祭祀のことです。
 宮中というのは皇居のことで、皇居というのは天皇が普段住んでいる場所です。江戸城があった場所で、東京の真ん中にあります。広さは東京ドーム25個分に相当します。
 行ったことのないかたは、ぜひ一度、行ってみてはいかがでしょうか。

 さて、宮中祭祀の数は年間で20回ほどあります。その中から、お正月の祭祀について説明しましょう。

 天皇は大みそかの晩から身を清め、早朝4時ごろから準備を始めます。そして早朝530分ごろに「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」という特別な装束を着て出てこられます。もちろん外は真っ暗ですし、正月の早朝ですからかなりの寒さです。その中で、特別な庭の場所に出てこられます。

 そこでまず、属星という特別な天皇の星に向かって拝礼します。
 次に東西南北の四方の神様に拝礼します。
 最後に父母の天皇陵に向かって拝礼します。
 そしてそれぞれ、その年の国家国民の安寧や豊作などを祈る呪文を唱えます。

 呪文の内容はかなり難解なのですが、分かりやすくいうと、この世で起こるさまざまな困難や災いは、全て私を通してください。全て自分の身が引き受けますから、国家国民を守ってください、というような意味になります。

 このような祈りを、それぞれの神々に向かって唱えます。
 そしてこの祭祀を行うのは天皇お一人なのですが、平成時代は上皇陛下がこの四方拝を行う間は、上皇后陛下もお近くで一緒に拝礼をし、祈っておられたということです。

憲法で定められた天皇の国事行為
 この後も、元日はさまざまな儀式が分刻みのスケジュールで行われます。
 945分から始まる「新年祝賀の儀」では、両陛下が皇族や元皇族、内閣総理大臣、閣僚、最高裁判所長官、宮内庁職員などから新年のあいさつを受けます。

 これが午後まで続き、各国の駐在大使公使夫妻ともあいさつを交わします。この一日でお祝いを受ける人数は700人近くになります。これが天皇の元日です。 

 祭日でなくても、天皇は早朝に起きて、まず国家国民のために祈ります。そしてさまざまな役割をこなします。

 さて、日本国憲法では、天皇の仕事は憲法の6条と7条にまとめられています。
 具体的に数えると12項目あります。この12の仕事を国事行為といいます。

 国事行為のうちの11項目は、日本国憲法によって定められたものです。
 つまり日本国憲法ができてから、新しく天皇の役割としてできたものです。

 それまで歴史的に天皇として行ってきた儀式は、全て12番目の「儀式を行うこと」に入ります。
 ですから現在の天皇は、天皇が歴史的に果たしてきた儀式を行うことにプラスして、さらに憲法が定める11の仕事をします。

 これは大変な勤めです。これをいかに果たしていくか…。
 特に上皇陛下は、このことについて全身全霊で取り組み、そして模索してきたと語られました。
 その背後には、やはり天皇の歴史的な役割があります。

 この天皇の歴史性については、また次回お伝えしたいと思います。

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