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ほぼ5分で読める勝共理論 55
天皇について③
天皇の神としての立場

編集部編

令和最初の国賓、トランプ大統領
 2019年(令和元年)5月、令和の時代の初めての国賓として、トランプ米国大統領が来日しました。
 実はこの来日は、安倍晋三総理(当時)がトランプ大統領を説得して実現させたものでした。

 安倍総理が最初に誘った時、トランプ氏はかなり渋りました。
 「あと1カ月たてば、G20で日本にまた行かないといけない。日本はアメリカから十数時間もかかる。こんなに忙しいのに何度も日本に行けない。シンゾー、俺はそんな暇じゃないぞ」と言ったのです。

 それで安倍総理は、「日本では歴史的な改元という行事があって、令和初の来賓が誰になるのかがとても大事なんだ」と言いました。

 トランプ氏は、「それはスーパーボウルと比べてどれぐらい大きなイベントなのか」と聞きました。

 スーパーボウルというのは、アメリカンフットボールの全米の決勝戦のことです。
 アメリカ中が熱狂し、アメリカ中の仕事が休みになります。テレビでは毎年年間最高視聴率を記録します。オリンピックやワールドカップどころではない、アメリカが国民を挙げて参加するのがスーパーボウルなのです。

 安倍総理は、「日本の天皇は2600年以上続く男系血統なんだ。そして元号が変わるのは天皇が亡くなられてからなのが普通だが、今回は生きている間に退位することになった。これは200年ぶりの出来事なんだ。その後の天皇の初めてのお客さまがトランプ大統領になるんだ。だからこれはスーパーボウルの100倍ぐらい大事なんだ」と答えました。

 それでトランプ氏は驚いて、「それなら行く」と言ったのです。

日本の天皇はどのような存在なのか
 では、天皇とは歴史的に一体どういう存在だったのでしょうか。
 これをまず説明したいと思います。

 皆さんの中には、天皇とはヨーロッパの王様のような存在で、絶対的な権力者であるというイメージを持っているかたもいるでしょう。

 確かに天皇を英訳すると「エンペラー(emperor)」です。エンペラーをさらに日本語に訳すと「皇帝」で、世界的にはローマ帝国の皇帝が有名です。他にも中国の秦の始皇帝などが有名です。
 ですからエンペラーといえば、絶対的権力者です。でもそれは、日本の天皇とはだいぶ違うのです。

 ちなみにヨーロッパの中世の王様が絶対権力者であったのは、「王権神授説」によるものでした。
 王の権力は神から与えられたものである。神とは「GOD」であって、全知全能の能力をもって宇宙を支配する存在である。だから王には絶対的な権力がある、という考え方です。

 当時のヨーロッパの人々には、王様がいなくなると次の日から太陽が昇らなくなるのではないか、という考えがあったそうです。

 一方の日本の天皇は、太陽の神様、つまり天照大神(あまてらすおおみかみ)の子孫です。
 神から権力を与えられたのではなくて、子孫ですから神そのものなのです。

 そしてここがかなり重要なのですが、日本の神様は自然そのものです。一神教のGODとはちょっと違うのです。

 日本の神様は、自然を超えた絶対者ではありません。自然そのものです。ですから支配者ではありません。

 もちろん太陽が昇らなければ人々は生きていけませんから、ある意味では支配者なのかもしれません。しかし日本ではそういうふうには考えませんでした。

 太陽は人間に限りない恩恵を与えてくれます。自然の実りである作物を食べて人間は生きることができます。つまり自然というのは、人間に恩恵を与えるのです。人間も自然を利用します。自然は人間と「共に」生きていく存在なのです。

 自然は支配者ではなく、共存者なのです。ですから天皇は、人間を生かす自然の代表者のような存在です。その本質は支配者ではありません。これが天皇の神としての立場なのです。

 今日は天皇の神としての立場について説明しました。
 次回は、天皇のもう一つの立場である、人間の代表者としての立場について説明します。

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