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ほぼ5分で読める統一運動 23
現在の内外情勢に通じる文鮮明師の警告的メッセージ

稲森 一郎

 文鮮明(ムン・ソンミョン)師は、19651226日に以下のような警告の言葉を語っています。

 「現在、日本やアジアにおいて、共産主義が非常に大きな問題の焦点になっています。理念主義的な共産主義はソ連から出てきましたが、行動主義的な共産主義は労働者、農民を中心として展開しています。とても組織的に動いています。今後日本のあらゆる面を支配しようという政治家にとっては、共産主義者とどのような戦いをするかということが問題になることでしょう。今、日本は思想的に再武装しなければならない時が来たのです」(『真の御父母様の生涯路程④』337ページ)

 1960年代、アメリカがベトナム戦争の泥沼の中でもがいている時、中国とソ連および北朝鮮は、共産主義の世界的拡張を目指し、思想闘争ならびに現実闘争を強力に推し進めていました。

 当時、国際共産主義は中ソ対立というハンディキャップを抱えてはいましたが、共産主義のプロパガンダは日本の大学や社会において、極めて活発に行われていました。

 国際共産主義は日本革命に成功すれば、アジア革命の成功へとステップを上げることができると見ており、アジア革命が成就すれば、民主主義の本丸であるアメリカの共産革命は遠からず成功すると計算していたに違いありません。

 こうして世界革命を目指してアクセルを強力に踏んでいた時、立ちふさがった巨大な壁が文鮮明師の主導する勝共運動でした。

 文師の「日本は思想的に再武装しなければならない」という指摘は、共産主義の理論的誤謬(ごびゅう)をはっきりと知ること、共産主義理論を作り上げたマルクスの動機を明確に理解すること、共産主義者たちの革命戦略・革命戦術を理解し、彼らの革命を阻止すること、このように共産主義の理論と実践の両面の問題点を理解しなければ、狡猾(こうかつ)で虚偽に満ちた共産主義にやられてしまうという警告に他なりません。

 偽りの言葉(思想、哲学)を真理の言葉であるかのように、共産主義者は巧妙に語るのです。だまされてはいけません。

 第一に、共産主義の理論的誤謬とは、①共産主義哲学(弁証法的唯物論)の間違い、②共産主義の歴史観(唯物史観)の間違い、③共産主義経済学(資本論=経済学)の間違いのことであり、それを知らなければならないということです。

 第二に、共産主義理論を作り上げたマルクスの動機とは、マルクスが抱いた怨念であり、言い換えれば、疎外感(のけ者にされているといった感情)でありますが、四つの怨念を彼は抱いています。
 すなわち、「人間疎外論」と呼ばれる初期マルクス主義の精神構造です。

 四つとは、①神に対する恨み、②国家(プロイセン政府)に対する恨み、③大学(ベルリン大学、ボン大学)に対する恨み、④結婚と家庭に対する恨み、この四つです。

 自己の欲求実現を困難にした精神的要因、環境的要因を全て憎み、共産主義革命(初期マルクス主義=暴力革命)による解決を目指したのです。

 第三に、共産主義者たちの主要な革命戦略・戦術とは、①二段階革命論(ブルジョア民主主義革命から社会主義革命〈プロレタリア革命〉へと二段階で行う=後期マルクス主義)、②文化共産主義戦略(フランクフルト学派の思想)、③女性と子供をターゲットにする戦略、④言論と教育を握る戦略であり、これらの主要な戦略・戦術を理解する必要があります。

 今日、ますます思想的に再武装する必要が高まっている日本の現状であると痛感します。