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【B-Life『世界家庭』コーナー】
フィリピン便り⑥
「ここまで息子を褒めるお母さんは偉い!」

 2010年から2011年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「ハロハロ フィリピン便り」を、特別にBlessed Lifeでお届けします!

 筆者のトゥパス サチコさんは、3億6千万双のフィリピン・日本家庭です。

※ハロハロとは、タガログ語で「混ぜこぜ」を意味する言葉。フィリピンの代表的なかき氷デザートを指す。

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 親しくしている、あるフィリピン人親子のことです。

 普段のそのお母さんは、とてもおちゃめでいつもおしゃれに気を配る人で、実際の年齢より10歳は若く見えます。周りからも「少女のようだ」と言われるほど。そして会うたびに手料理を持ってきてくれます。

 そのお母さんには20歳前半の息子がいて、彼はとても親切で優しい青年です。

 ある日のこと。私はそのお母さんに「息子さんはとても優しいですね」と褒めました。すると、お母さんは満面の笑みを見せ、

 「そーなのよ、そーなのよっ! ! 私の息子はとっても優しくて、とってもハンサムで、とってもいい子で、とっても……

 一言の褒め言葉が3倍の自慢(?)になって返ってきました。日本ではあまり見たことのないお母さんの反応にびっくり。正に息子の大ファンという感じです。

 そのときは、なんだか聞いている私のほうが恥ずかしくなりました。しかし、自分のことをここまで褒めて自慢してくれる母親がいるなんて、どんなに幸せなことでしょう。

 この出来事をフィリピンの兄弟に話しました。その兄弟が言うには、「フィリピンの母親は自分の子供がどんなに成績が悪くても、ハンサムじゃなくても、他人からどう思われようとも関係なく、自分の子供を他人に誇る」とのことでした。

 客観的に見ると多少オーバーだなと思う面もあるかもしれませんが、日本のように遠慮して「それほどでもないですよ……」なんていうことは決して言わないし、言う理由がないとのことです。

 子供を思う母親の気持ちは全世界共通でも、その気持ちを表し伝える表現方法には驚くほどの違いがありました。

▲火山の噴火でできた湖(タガイタイ市)

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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2011年2月号に掲載されたものです)