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【B-Life『世界家庭』コーナー】
フィリピン便り⑤
「世界一長い? クリスマス」

 2010年から2011年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「ハロハロ フィリピン便り」を、特別にBlessed Lifeでお届けします!

 筆者のトゥパス サチコさんは、3億6千万双のフィリピン・日本家庭です。

※ハロハロとは、タガログ語で「混ぜこぜ」を意味する言葉。フィリピンの代表的なかき氷デザートを指す。

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 クリスマスはフィリピンの一大イベントです。準備はなんと9月から始まります。その余韻はお正月を巻き込み、2月まで続きます。

 街や家にはベツレヘムの星を象徴したパロルという貝でできた星の飾りをあちらこちらに飾り、街路樹はツリーになり、街や教会からはクリスマスソングが鳴り響きます。貧しい子供たちは歌を歌い、お菓子やおこづかいをもらうために一軒一軒を訪問して歩きます。

 一昨年初めて迎えたフィリピンでのクリスマス当日、スパゲティやチキン、肉類などの食事が準備されたテーブルの上にはケーキがありません。

 「あれ? 肝心のケーキは?」と夫に尋ねると、「えっ? 誕生会じゃないからケーキは要らないよ!」と言われました。驚いたことに、フィリピンではクリスマスにケーキを食べる習慣はないようです。

 自宅でクリスマスを過ごし、数日たってから夫の実家に行きました。すると、今度は家族と親戚で、またクリスマスをお祝いするのです。

▲教会のメンバーが祝福家庭の家を回り、キャロルを歌いにきてくれる

 さらに驚いたのは、プレゼント交換をして家族の前で一斉に包装紙をバリバリとわざと音を立てながら豪快に破ります。中身は、ネックレスやブレスレット、お皿などでした。

 相手にもらってほしいなあとか、またもらいたいなという思いを音で表しているそうです。包装紙をきれいにとって再利用するのは日本人だけでしょうか……。

 こちらのクリスマスは日本のお正月のようなもので、海外に出ている親戚たちが帰ってきて、共に時間を過ごすのです。

 同じアジアでありながら、西洋文化が入り混じり、1年の半分がクリスマスシーズンであるこの国で、これからもまだまだ驚く出来事がありそうです。

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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2011年1月号に掲載されたものです)