2024.08.23 17:00
【B-Life『世界家庭』コーナー】
ハロハロ フィリピン便り④
「大晦日の運動会」
2010年から2011年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「ハロハロ フィリピン便り」を、特別にBlessed Lifeでお届けします!
筆者のトゥパス サチコさんは、3億6千万双のフィリピン・日本家庭です。
※ハロハロとは、タガログ語で「混ぜこぜ」を意味する言葉。フィリピンの代表的なかき氷デザートを指す。
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ミンダナオ島にある夫の実家を訪れたときのことです。
ミンダナオ島はフィリピンの一番南にある島です。ある一部ではイスラム教とキリスト教の争いがありますが、そこを除けば、とてものんびりしています。時が止まっているような、まるで天国を思わせる平和な所です。
大晦日の朝でした。
大きな仕事用のトラックの荷台に子供を含めた30人ほどの親戚が乗って、夫の実家に集まってきました。あまりの人の多さに正直、気持ちが引きました。
夫は、次々と久しぶりに会う親戚とハグをしていきます。そして、狭い庭にテントを張ってテーブルを出し、花を飾り、お正月の準備が始まります。
準備が整うと、今度は夫の弟の嫁の進行で子供たちの運動会やゲームが始まりました。それを見ながら大人たちは喜んでいるのです。
私は、初めて会う親戚ばかりなので、夫に、「あの親戚は誰?」と次々に尋ねました。
「父方のおじいちゃんの死別した前の奥さんの2番目の娘だよ」
「じゃあ、あの日本人っぽい顔の女の子は?」
「あぁー、あの子はお母さんのお姉さんの娘の子供だよ。お父さんは日本人だよ。あっちの子は、母方の母方の親戚の家に入った養子の子だよ」
「あっちのおじさんは?」
「うーん、僕も分からない」と、聞いているだけでこんがらかるほど。
集まる親戚の範囲が広いことに驚きですが、それだけ仲も良いということです。
ふと、私の田舎も昔は人がたくさん集まったなぁーと懐かしさがよみがえりました。
このフィリピンの氏族の絆の強さが、真の父母様を中心としたものになれば素晴らしいなと一人、思う一日でした。
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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2010年11月号に掲載されたものです)