家族の絆づくり 38
長期的な視点をもちましょう

ナビゲーター:阿部 美樹

「急がば回れ」の精神
 日本で車の渋滞が起こるメカニズムを研究する専門家によれば、最も多く渋滞が起こっているのは、緩やかな坂道だそうです。上り勾配なのでスピードが落ち、後続車が「早く行きたい」と車間を詰め過ぎて、追突を避けるためにブレーキを踏むため、数十台後には停止せざるを得なくなります。

 短期的には車間距離を詰めて走った方が早く行けるように思いがちですが、実は、長期的に見れば交通渋滞を引き起こし、逆の結果を招いてしまいやすいのです。自分だけ急ごうとする「部分最適」ではなく、常に全体的利益になる「全体最適」を選ぶこと、長期的な視点で見つめることが大事なのです。

当然と思っていることが、実は…
 車の運転において、「急げば早く着く」という思い込みがあれば見直さなければなりません。同じように、他にも「〜しなければならない」「〜するのが当然だ」という思い込みはないでしょうか?
 「働かなければ・・・」「頑張らなければ・・・」と無理して身体を壊したり、「私はこれが好きだから・・・」「私はそれが嫌いだから・・・」と正直に生きていたとしても、秩序を乱し人間関係を壊したりします。

 車の渋滞の例で見たように、自分のことばかり考えないで、「常に車間距離を開けて運転する」「無理に車線変更しない」など、お互いに譲り合い、「利他の心」を持つことが大切なのです。
 余裕なく急ぎ過ぎるのではなく、ゆっくりと全体を見つめる余裕と、長期的な視点が必要です。「今さえ良ければいい」「ここさえ良ければいい」「自分さえ良ければいい」という考えは、仕事や人間関係においても幸せをもたらしてはくれません。