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ほぼ5分で読める統一運動 21
共産主義と闘う勝共運動が始まったのは歴史的宿命

稲森 一郎

 統一運動が直面する最大の困難は、国際共産主義の勢力です。
 共産主義は無神論であり、唯物論ですから、当然、統一運動の有神論、唯一論(物心一元論)の立場とは真逆の思想体系を主張しています。相いれない二つの立場は、ぶつかる運命を避けられないのです。

 イエスの十字架を思想的に解明するならば、現代の民主主義圏、共産主義圏、キリスト教圏、イスラーム圏がどういうふうに現れるようになったのか、はっきりとその理由が分かると、文鮮明(ムン・ソンミョン)師は明言しています。

 「イエス様の十字架の摂理を注意深く見ると、右の強盗と左の強盗、イエス様とバラバがいたのですが、そのような形で種が蒔(ま)かれたというのです。『自分のまいたとおりに、刈り取る』という原則ゆえに、最初に現れたのが、イエス様を中心とする『右の強盗型(がた)』と『左の強盗型』である右翼世界と左翼世界、すなわち民主圏と共産圏であり、その次に現れたのが、イエス様の十字架を中心として登場した『バラバ型』であるイスラーム圏です。イエス様によって恵沢を受けることになった『バラバ型』のイスラーム圏は、キリスト教の対立勢力を中心として出発したのです」(天一国経典『平和経』882883ページ)という見解を文師は示しています。

 結局、民主主義圏=右の強盗、共産主義圏=左の強盗、十字架のイエス=キリスト教圏、バラバ=イスラーム圏という説明です。
 現代の国際情勢を、十字架の刑の場面から語れば、そうなるということです。

 「イエス様の十字架を中心として登場した『バラバ型』であるイスラーム圏」というのは、バラバが十字架の刑に処せられることになっていたのですが、民衆がバラバを許し、イエスを十字架に付けろと叫んだことによって、イエス様が代わりに十字架刑に処せられた経緯を意味しています。

 以上の事実から見れば、キリスト教(十字架のイエス)と民主主義圏(右の強盗)が親和性を持ち、イスラーム(十字架を免れたバラバ)と共産主義圏(左の強盗)が接近する可能性が高いことを示しています。

 実際、シリアとロシアが手を結び、ロシアと中国がイランと協力し合う関係にあることなどを見れば、納得することができます。

 ではなぜ、右の強盗はキリスト教圏(民主圏)を表すのでしょうか。
 文師はこのように語られます。

 「十字架で亡くなられたイエス様は、強盗殺人犯である右の強盗と共に亡くなられました。もし右の強盗がその場にいなかったとすれば、イエス様は、地上に対して、また人間に対して、関係を結ぶ何の縁も探し出すことができなかったでしょう。しかし、右の強盗が、死ぬ立場にあったにもかかわらず、イエス様の味方に立ってイエス様を擁護したのです。人類歴史上、イエス様の味方に立った最後の人は誰だったでしょうか。それは、ペテロでもなく、イエス様の父母でもなく、イスラエルの国でもなく、ユダヤ教でもありませんでした。ただ一人、右の強盗だったのです」(天一国経典『平和経』883884ページ)。

 悔い改めて救いを求めた右の強盗は、イエスを救い主と信じた最初の人物でした。
 この右の強盗が民主圏(宗教圏)を表し、イエスを罵(ののし)った左の強盗は、共産圏(無神論、宗教否定、国際共産主義勢力)を表します。

 統一運動は、共産主義と闘い、勝共運動を1960年代半ばから韓国で始めましたが、それは歴史的な宿命というべきものでした。