2024.10.11 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第208回 虐待が社会問題になっていますが、それを乗り越えた人を教えてください
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「最近、虐待が社会問題になっていますが、虐待の苦しみを乗り越えた人を教えてください」という質問に対してお答えします。
児童相談所における児童虐待相談対応件数は年々増加しており、近年は年間20万件以上(2022年は219,170件)になっています。
10年前と比べると3倍以上で、深刻な問題となっています。特に、親などから虐待を受けて死亡する児童は年間50人以上に及びます。
被害者の救済だけでなく、加害者に対してどのように虐待防止の取り組みをするかが課題となっています。
親から虐待を受けた子供は、どのように育つのでしょうか。
そのような中でも、立派に社会で活躍している人がいます。
そのかたは、島田妙子さんです。
兵庫県神戸市出身で、4歳の時、両親が離婚し、兄二人と共に児童養護施設に預けられました。
7歳の時に父が再婚し、その後、家族で同居が始まりました。
しかし、継母から毎日たたかれるという虐待を受けるようになり、父と継母のけんかが絶えなくなり、父からも虐待を受けるようになりました。
中学1年の時に何度も家出を繰り返し、自殺未遂をします。
中学2年で、児童養護施設に保護されます。
それから1年半後、父から突然の電話があり、緊張しながら出てみると謝罪の言葉でした。
その1週間後、父が自殺を図り、病院に運ばれましたが、亡くなってしまいました。
22歳の時に結婚し、4年間で3人の子を授かります。
しかし長男はアスペルガー症候群と自閉症の疾患があり、苦労します。
さらに、夫の両親と同居するようになると、舅(しゅうと)は重度のアルツハイマー病、姑(しゅうとめ)は腰を悪くして車椅子生活で苦労が絶えない波乱万丈の人生でした。
このような体験がトラウマになり、生活に支障をきたす人が多い中、島田さんは自分の体験を生かして、2010年から「児童虐待防止活動」を開始しました。
現在は、「一般財団法人児童虐待防止機構オレンジCAPO理事長」「兵庫県児童虐待等対応専門アドバイザー」「関西大学客員教授」「株式会社イージェット取締役会長」など、各方面で大活躍しています。
島田さんは次のように語ります。
「過去に起こった出来事は変えられませんが、自分がいまこの活動をするために(その出来事が)起こったと思うと、辛い過去も財産になるでしょう。
虐待を生き抜いた私だから伝えられることを、全国を回ってお話ししています」
「自分自身も死にそうになりながらも、いま生きています。この二度とない人生、天から与えられた命を大切にし過ぎて挑戦しない生き方はもったいないと思います。
私は『命を使う』と表現していますが、いつ死ぬか誰にも分からない中で、自分の命を使って仕事する。
私の場合、自分の体験談をお話しすることで、一人でも多くの人を笑顔にしようと活動してきました」
このように、自分自身が波乱万丈の苦しい体験をしたからこそ、同じ苦しみを持っている人に寄り添うことができたのでしょう。
過去や現在にどんなつらいことがあったとしても、未来には素晴らしい世界が広がっていることを笑顔で伝える姿勢は、自分の使命を果たそうとする素晴らしい生き方です。
私たちも、天から頂いた命をどのように使うかを改めて考えてみましょう。
【参考】
一般財団法人児童虐待防止機構オレンジCAPOウェブサイト、人間情報誌『致知』(2018年3月号)