2024.10.04 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第207回 障害で不自由な中でも社会で活躍する人を教えてください
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「身体障害で不自由な生活をしています。同じような苦しみを抱えながら社会で活躍する人を教えてください」という質問に対してお答えいたします。
障害には、身体障害や精神障害、知的障害などさまざまな障害があります。
障害がある本人やご家族は多くの苦しみを抱え、日常生活においても多くの負担を感じていることと思います。
障害の程度や状況はそれぞれ違いますが、諦めず努力した結果、社会で活躍するようになる人も多く存在します。
その中で、事故によって手足の自由を失いながらも、驚くような活躍をされたかたがいらっしゃいます。
そのかたは、星野富弘さんです。
星野さんは、1946年に群馬県勢多郡東(あずま)村(現 みどり市東町)に生まれました。
群馬大学教育学部保健体育科を卒業し、運動神経の良さを生かして、中学校の体育教諭になりました。
24歳の時のことです。
クラブ活動で空中回転の模範演技をしている時、誤って頭から転落しました。
頸髄を損傷し、手足が麻痺(まひ)して自由を失いました。
26歳の時、入院中、手紙の返事を書きたいとの思いから口で筆をくわえて文や絵をかき始めました。
ミミズがはうような字となりましたが、一字でも書けるとスポーツで新記録を出したような喜びだったそうです。
ベッドの横には、お見舞いの人が持ってくる花がありました。
その花を見て絵を描くようになり、その花から受けた思いを短い詩のような文章にして添えました。
その当時、聖書を読むようになり、聖句の言葉に感動し、言葉の影響力の大きさを実感します。
28歳の時、病室でキリスト教の洗礼を受けます。
33歳の時には、入院中、前橋で最初の作品展を開くようになります。
美しい花と共に、心に染みる言葉が添えられています。
例えば、このような詩があります。
「苦しくてどうしようもない時 いつもうかんでくることばがあった 神様がいるんだもの なんとかなるさ そしていつも なんとかなった」
「よろこびが集ったよりも 悲しみが集った方が しあわせに近いような気がする 強いものが集ったよりも 弱いものが集った方が 真実に近いような気がする しあわせが集ったよりも ふしあわせが集った方が 愛に近いような気がする」
聖句のような慰労と希望と勇気を与える言葉です。
その後、35歳で結婚。雑誌や新聞に詩画作品やエッセーを掲載するようになり、36歳から全国各地で「花の詩画展」を開きます。
45歳には、群馬県勢多郡東村に「富弘美術館」を開館します。
48歳以降は、ニューヨーク、ホノルル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ワルシャワなどで「花の詩画展」を開催します。
59歳の時、新富弘美術館を開館し、2021年(76歳の時)には美術館開館30周年を迎え、入館者が700万人を超えました。
このような活躍が認められ、群馬県名誉県民やみどり市栄誉市民の称号が贈られます。
2024年4月28日に78歳で亡くなりました。
このように、多くの苦労をした人の姿は勇気と希望と感動を与えます。
自分の足りなさに劣等感を持ったり、自分の力不足でできないと諦めたりすることがありますが、もっと不自由な人がそれ以上の力を発揮する姿に触れると反省させられます。
どんな状況であっても、無限の可能性を信じて挑戦する姿勢を相続したいものです。
【参考】
ウェブサイト「星野富弘詩画集ネット」