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青少年事情と教育を考える 274
「こどもまんなか実行計画」が示す子供政策

ナビゲーター:中田 孝誠

 こども家庭庁は、「こどもまんなか実行計画2024」をまとめ、5月に発表しました。
 子供に関する今後1年間の主な政策を具体的に示したもので、次のような項目があります。

 ①こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等、②多様な遊びや体験、活躍できる機会づくり、③こどもや若者への切れ目のない保健・医療の提供、④こどもの貧困対策、⑤障害児支援・医療的ケア児等への支援、⑥児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援、⑦こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組。

 例えば、②では「はじめの100か月の育ちビジョン」(妊娠期からおおよそ100か月にあたる6〜7歳頃までが子供の発達にとって重要ということ)を踏まえて、乳幼児期の豊かな遊びや体験、質の高い幼児教育と保育を推進するとしています。

 また、文化芸術を体験する機会を増やしたり、「早寝早起き朝ごはん」国民運動など生活習慣を改善したりする取り組みも進めるとしています。
 自国文化はもちろん、異文化理解や理数系教育、起業家教育などを充実させて、「こども・若者が活躍できる機会」をつくることをうたっています。

 子供の貧困対策や児童虐待防止、社会的養護、自殺対策など、一つ一つの項目は現代の子供たちが抱える課題を示していて、必要な対策であることは理解できます。

 一方、②では「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の普及啓発・相談体制の整備等」を行うため、「教職員向けの啓発資料」などを提供し、「性的マイノリティのこども・若者へのきめ細かな対応」を行うとしています。

 当事者の子供たちへの相談体制を整備することや人権侵害がないよう自他の人権を尊重する態度を育むことはもちろん重要です。
 ただ、性的マイノリティに関連する教育内容は、議論が分かれるところでもあります。

 来年度から中学校で使用される教科書には、「性の多様性」に関する記述が増えました(東京新聞3月23日付によると、4年前の6教科16点から8教科26点に増えています)。

 また、家庭・家族の多様性を書いた教科書に対しては、文部科学省から「家族・家庭の基本的な機能を扱うとしている学習指導要領に照らして不適切」という意見がついて修正されています(教育新聞2024年4月1日)。

 ちなみに、今年4月に発売された『トランスジェンダーになりたい少女たち』(産経新聞出版)では、欧米で教育現場・医療と家庭の間に大きな問題が生じ、子供たちにも重大な影響を及ぼしていることが描かれていました。

 日本で同じような問題が起きるかは分かりませんが、こうした教育は一方的になるのではなく、子供の発達を見ながら慎重に行うべきでしょう。特に学校と家庭との連携が重要であると考えます。