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青少年事情と教育を考える 273
家庭教育を支援する専門人材

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回は「社会教育士」を取り上げました。
 社会教育士は、地域のさまざまな課題を解決し、教育の面から豊かな地域づくりを支援するために専門的な知識を身に付けた人たちです。

 今回は、家庭レベルで支援を行う専門を紹介したいと思います。

 例えば、「家庭教育師」という資格があります。
 日本家庭教育学会が認定するもので、「社会において家庭教育の向上及び地域文化の創造に資する活動」を担い、保育期から児童期、青年期の家庭教育、学校と家庭の連携について指導助言を行うと規定されています。
 そのため、「家庭教育学」に関する専門的知識が求められています(同学会ウェブサイト)。

 また、「家庭支援専門相談員」という資格は、家庭の事情(虐待など)で施設に入所している子供の保護者の相談を受けたり援助を行ったりします。実親、里親と子供の親子関係の構築なども支援します。
 相談員になるには、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持っているか、児童養護施設で5年以上勤務した経験が必要です(社会福祉法人恩賜財団済生会ウェブサイト)。

 この他、「家庭教育相談員」「家庭教育支援員」「家庭相談員」といった人たちが、家庭支援、子育てや家庭教育の学習機会の提供などの活動を行っています。

 さらに、地域で子育てや家庭教育の相談を受けたり、親子で参加するさまざまな取り組みを提供したりする「家庭教育支援チーム」という制度があります。
 子育て経験者や元教員、スクールカウンセラー、企業などがチームを組み、行政が支援する形で活動が行われていて、今年7月の時点で446チームが登録されています。

 文部科学省の調査などを見ると、支援が必要な家庭ほど行政に相談していない傾向があります。
 そのため、専門員が直接家庭を訪問してニーズに応える「アウトリーチ型」支援が必要になっています。

 文部科学省の「家庭教育」のウェブサイトには、「家庭はすべての教育の出発点」「子供たちにとって『家庭』は安らぎのある楽しい居場所」と書かれています。

 子供たちは安心できる居場所を求めています。子供たちが育つ家庭をそのような安心できる居場所にすることは、豊かな地域づくりにもつながります。

 そのためにも、家庭に関する専門的な知識と経験を持った人材が必要とされているのではないでしょうか。