https://www.youtube.com/embed/hprSbdHquaY?si=J6rmkR0MPeIm42f

心をのばす子育て 52

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

6、意の教育

■良い家庭とは

 昔の歌の歌詞に「狭いながらも楽しい我が家、愛の花咲く……」というのがありました。現代は家を建てるためには一生懸命がんばりますが、家庭をつくることを忘れているような気がします。
 家のローンのために夫婦共働きで子供はほったらかし、子供部屋を造ったら閉じこもってしまったというのでは意味がありません。家はあっても家庭がないのです。

 心を育てる最大の場はやはり家庭です。家庭が安定して、楽しく、愛に満ちていれば、子供の「情」は成長していきます。「情」が安定していると勉強もできるようになります。
 つまり、良い子を育てるポイントは家庭なのです。では、良い家庭をつくるポイントは何でしょうか。

 まず、男性と女性が結婚して初めてそこに家庭ができ、夫婦で子供を生み育てるのですから、夫婦が一つになることが良い家庭をつくる第一のカギです。
 それは、子供にとっても「親(夫婦)がケンカすること」が一番の悲しみであることからも分かります。

 次は家庭の雰囲気です。「夫婦が仲良く」「愛とユーモアと安らぎ」にあふれている家庭が第一条件です。この家庭の雰囲気だけで幼児期の子供は順調に育ちます。

 しかし、次に子供の心を訓練し育てなければなりませんから、ある程度の厳しさが必要になります。
 これは子供の年齢や状況によって程度は変わりますが、家庭の雰囲気をくずさないようにしなければなりません。そこには「厳しさと許しの愛」が必要になります。

 その時には夫婦の基本的な考え方(子育ての原理)が一致していなければなりません。ここまでにしっかりとした人生観、価値観を親が学び身につけておかなければなりません。
 また、社会ともかかわっていかなければなりませんから、「開かれた家庭」が求められます。

 ここで問題なのは「良い家庭をつくろう」と思っているだけでは、良い家庭はなかなかできないということです。なぜなら、みんな良い家庭をつくろうと思って結婚します。
 姑(しゅうとめ)とケンカしようとか、離婚しようとか、子供を虐待しようと思って結婚する人はいないのに、実際には夫婦げんかをしてしまったり、つい子供を虐待してしまったりというような問題が起こってしまいます。

 最近、子供を虐待している親を調べてみると、その親自身も小さいときに親から虐待されて育てられていたことが分かってきました。
 我が子には何不自由なく、愛情を込めて育てようと思っていたのに、その子を見ているうちに「自分は何もしてもらわなかったのに、この子は」と我が子に嫉妬(しっと)してしまい、気がついたら自分も親と同じ虐待をしていたのです。
 また、愛されなかったので愛し方が分からず、結果的に虐待してしまうのです。虐待する親もある意味では被害者だったのです。

 このように子供に問題が出てきたとき、親の育ってきた状況まで見なければ分からないことが往々にしてあります。つまり、物事は今の家庭だけ見ていては理解できないのです。
 その親が育った過去の家庭までさかのぼり、また横の広がりも親戚まで見て、自分や配偶者の育った家庭を見ていく中で初めていろいろなことが理解できるようになります。つまり「家庭の歴史(家系)」を知ることが、良い家庭をつくるのに必要なのです。
 また、子供の問題についても、子供だけを問題にするのではなく、家庭すべての問題として考えていかなければなりません。

---

 次回は、「血統教育」をお届けします。