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心をのばす子育て 49

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

6、意の教育

■社会性

●公的精神を身につける
 自立心ばかり強調すると自発性の動機が自分にあるので、自己中心的な人間になる可能性が高くなります。もしくは、責任感があり立派だけれども、近寄り難いという人間になってしまいます。
 自己中心的だと、目的を見つけるにしても好きなことと得になることしかやらなくなって、苦労を嫌がるようになります。また、自分のためにならないと思うとすぐやめてしまいます。

 この自己中心性を超えるために「社会性」というものが必要になります。自分一人で生きていくのではなく、社会の中で人とかかわりながら生きていくという意識です。

 この社会性の中の一つに「公的精神」があります。公的精神とは全体の中の自分という見方です。自己中心的な人間は自分を中心に家庭・学校・社会を見ます。そういう見方をすると不平不満の思いが出やすくなります。自分が悪くなったのは「家庭が、学校が、社会が悪いからだ」という責任転嫁が起こるのです。

 よく日本は貿易摩擦でアメリカをはじめとする諸外国から批判されます。これを日本を中心に見ると「日本が貿易でもうけているのは日本が努力したからだ。あなた方が貿易で損をしているのは努力が足らないからだ」という発想が生まれます。
 ところが世界の中の日本という見方をすると、世界の中で日本だけがもうけているのです。それは一人勝ちなのです。それならば、困っている国のために何かしなければならないのではないでしょうか。勝負事でもいつも一人勝ちして、負けている人に何のお返しもしなかったら嫌われます。

 このように、「公的精神」とは大きな世界から小さな世界を見るという見方です。そのためにも子供の視野は広げなければなりません。この公的精神を育てるのも体験が大切です。小さいころから公的な場所に連れていきながら子供を躾(しつ)けていきます。

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 次回は、「他のために生きる」をお届けします。