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心をのばす子育て 48

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

6、意の教育

■語学(右脳学習法)

 海外に行く時、または外国の人と会う時に最大の障害になるのが語学です。最近は、学校教育でも小学校から英語教育を採り入れるようになりました。この英語をなぜ日本人は話せないのでしょうか。また話せるようになるためにはどうしたらよいのでしょうか。

 一番良い方法は海外に直接行くことです。しかし、ここでは日本で英語を学ぶ方法について考えてみましょう。まず日本人が英語を話せない最大の理由は、読み書きから始めてしまったことにあります。会話と読み書きの順番は、赤ちゃんが言葉を覚えるのを見ても分かるように、会話から始めなければなりません。この会話と読み書きは実は学習方法が違うのです。会話は右脳学習法で学びます。

 人間の脳には左脳と右脳があります。大きく分けると、右脳はイメージの脳で左脳は論理の脳です。右脳の特徴は早く、大量に、おおざっぱに処理します。
 それに対し、左脳は論理ですからゆっくり、少量で、正確に処理します。これはどちらの脳が優れているという問題ではなく、両方必要であり、この両方が活用されたときに人間の能力は最も花開くのです。

 よくテレビで、4桁(けた)くらいの掛け算を暗算で数秒で答える人がいます。これは右脳を活用しているのです。彼らの頭の中にはそろ盤の映像があるのです。そのそろ盤で計算しているのです。
 将棋の羽生名人が将棋をやっている時の脳波の映像を見ると、右の脳が強く動いています。頭の中でこれから動かす駒の動きの映像を見ているのです。

 速読も右脳です。23分で本を読んでしまう子供がいます。ただし右脳の働きはおおざっぱです。本を読むとき、じっくりと読むことによって情的に、正確に入ってきます。それぞれの読み方の良さがあります。ただ、一冊の本を23分では読めないにしても、普通の人より数倍早く読むことができれば勉強ははかどるでしょう。
 今の学校教育は左脳学習法に重点が置かれています。ですから右脳は左脳に比べあまり働いていません。右脳の訓練が足らないのです。

 左脳学習法と右脳学習法は、言い換えると、「覚える学習法」と「身につける学習法」とも言えます。右脳学習法は体を使って身につける学習法です。この特徴は右脳の特徴を考えて、「イメージ学習法」と「高速学習法」と「繰り返す学習法」というやり方です。そろ盤やスポーツはまさにこの学習法です。

 例えば、野球の練習を思い浮かべてみましょう。毎日、同じ練習を繰り返して体で覚えるのです。そうするとフライを捕るときバッターがボールを打ち上げた瞬間に落下地点が分かるのです。この素早い脳の処理はまさに右脳の処理です。
 これを左脳でやるとすると、打ち上げたボールの速度と角度と風の強さを計算することになり、とんでもないことになります。右脳でやるから瞬間に分かるのです。ただし、右脳の場合は左脳ほどの正確さはありませんから、毎日練習して精度を上げていくのです。

 英会話は覚えるものなのか身につけるものなのかといえば、会話は身につけるものです。ですから、英会話を学ぶなら右脳学習法から入ることです。一番いいのは、赤ちゃんのときから英語に触れていることです。幼児期は論理的な考えはしませんから、左脳はあまり発達していません。幼児期は右脳のほうが強いのです。ですから何も話せなかった赤ちゃんが23歳で話せるようになるのです。
 私たちが学校で勉強した英語は読み書きですから、左脳に入れています。左脳の処理できる量は少量ですから、入れても入れてもすぐ忘れます。左脳学習法だけで英語を覚えたことが失敗のもとです。
 私たちが日本語を話すときに文法や動詞の活用などを意識して話してはいません。会話では文法を知らなくてもちゃんと話せます。すべて無意識に出てきます。外国語の会話を学ぼうとするときに左脳学習法でやるとうまくいきません。

 英会話は右脳学習法ですから、身につけるまでの毎日の繰り返しが大切です。赤ちゃんも毎日の繰り返しから徐々に言葉を覚えていくのです。
 ただ、6歳を超えると左脳の働きが強くなります。ですから赤ちゃんのようにはいきません。ましてや、私たちは左脳で最初に英語を学習しているので、英語を聞くと頭の中で翻訳してしまうのです。ですから会話についていけないのです。
 この弊害を補うために、スピードを早めて聞く(速聴)という方法が最近注目を浴びています。スピードを早めると左脳がついていけなくなるので、右脳が働くようになるのです。さらに、速聴で訓練すると普通の速さがゆっくり聞こえるのです。そうすると英語が聞き取れるという自信につながります。

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 次回は、「公的精神を身につける」をお届けします。