2024.07.23 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
中国の重要会議、「3中全会」で決まったこと
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、7月15日から21日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
中国、「3中全会」開幕(7月15日~18日)。機密文書巡り、トランプ氏の起訴棄却(15日)。米、共和党大会、トランプ氏を大統領候補に指名(15日)。ニッキー・ヘイリー氏一転、トランプ氏強力支持(16日)。中国共産党、秦剛前外相・李尚福前国防相を処分(18日)。トランプ氏、ゼレンスキー大統領と電話会談(19日)。韓国検察、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人を事情聴取(21日)。バイデン氏、大統領選挙から撤退表明(21日)、などです。
まず、「3中全会」について説明します。
今年は7月15日から18日まで開かれました。3中全会は「3中総会」と表記する場合もあります。
正式には、第20期中央委員会第3回全体会議といいます。
中国共産党が5年に一度開く党大会の後に中央委員会が開く3回目の全体会議で、党としての中長期の経済政策を方向付ける場とされています。
党大会翌年の秋に開催されるのが慣例です。今回の3中全会も2022年党大会の翌23年に開かれるとみられていましたが、遅れていました。
会議は非公開であり、閉幕後に国営メディアを通じて概要を記したコミュニケ(声明)が発表されるのが通例となっています。
これまで3中全会で、経済の重要政策を打ち出してきた歴史があります。
1978年の3中全会は「改革開放路線」を確認しましたし、1993年は党指導下で市場経済を進める「社会主義市場経済体制」を目指すことを決めました。
2013年は、資源配分で市場に決定的な役割を果たさせるという方針の確認がなされ、2014年に李克強前首相は、「大衆創業、万衆創新」(大衆の創業、万人のイノベーション)を打ち出し、民間企業の育成を強化する方針を打ち出しました。
このたびの3中全会コミュニケ(18日公表)は、2022年秋の党大会で完成した習近平総書記1強体制が初めて打ち出す中長期的な経済運営の骨格とみられています。その要旨を挙げておきます。
一、米欧と異なる発展モデル「中国式現代化」の推進に向けた決定を採択
一、国家安全が中国式現代化の重要な基礎だ
一、中国式現代化の推進における党の指導のレベルを引き上げる
一、2035年までに高水準の社会主義市場経済を構築する
一、習近平国家主席が目指す「高い質の発展」が最重要任務
一、科学技術による「新たな質の生産力」を育成する仕組みを整える
一、税財政と金融の改革を深化させる
一、不動産や地方財政債務といった経済リスクを抑える
一、李尚福前国防相やロケット軍の李玉超前司令官の党籍はく奪処分を承認。秦剛前外相の党中央委員の辞任も認める
などです。
コミュニケの内容で見逃せないのは、国家安全を中国式現代化の「重要な基礎」としたことです。
公正で自由な経済よりも国家安全を優先する姿勢は何も変わりませんでした。むしろ経済統制を強めようとしていることが分かります。
成長が鈍化する経済に対する国内の反発を強引に押さえ込むつもりなのでしょう。
しかし統制強化は、反スパイ法などの恣意(しい)的運用を恐れる海外企業の不信も高めることになるでしょう。対中投資が戻ってくることも期待しにくいのです。
不透明な補助金で過剰生産した中国製品を海外に大量かつ安価に輸出し、日米欧から強く非難されています。
今回の3中全会で問われたのは、こうした現状をいかに打開するかでしたが、明文化されませんでした。
さらにコミュニケでは、「不動産や地方政府の債務、中小金融機関のリスクを抑える措置を取る」と指摘されていますが、具体策はこれからのようです。
見えてくるのは、習氏の独裁体制がさらに強まるのかという懸念です。
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