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青少年事情と教育を考える 271
他人と比較してストレス、ネット利用のトラブルに

ナビゲーター:中田 孝誠

 インターネットを利用した際に子供たちが何らかのトラブルに遭うことが少なくありません。

 こうしたネットのリスクやトラブルについて、総務省は今年6月、「我が国における青少年のインターネット利用に係る調査」の報告書をまとめています。調査対象は青少年約600人と保護者約3000人です。

 調査によると、子供たちの46.0%がトラブルに遭遇したことがあると回答しています。
 ネットのトラブルやリスクとしては、ネット上で知り合った相手に実際に会って被害に遭ったり、写真などプライバシーを拡散されたりといったことが問題になります。

 今回の調査でも、ネットで知り合った人に会って被害に遭いそうになったり、自分の画像をリスク対策をしないまま投稿していたりするケースなどが取り上げられています。

 それともう一つ、重要な問題として指摘されているのが、インターネットの利用によって精神的健康を害するケースです。

 例えば、「使い過ぎによって学業や生活に支障が出た」(18.2%)といった長時間利用による問題だけでなく、「他人の投稿と自分を比べてストレスを感じた」(17.9%)や「流行に遅れないように情報を追いすぎてストレスを感じた」(13.3%)も目立ちます。特に中学生女子と高校生男子ではこうした回答が最も多くなっていました。

 報告書によると、このような形でストレスを感じるケースは海外では以前から問題になっており、イギリスの2017年の調査ではSNSを1日2時間以上使用していると精神的健康状態が悪化(不安を感じるなど)し、他の人が人生を楽しんでいるのに自分たちは損をしているように感じる傾向が高くなるというのです。

 ノルウェーの事例では、広告やSNSに登場するモデルの画像がデジタルで修正されていて、若い世代が外見をよく見せるという大きなプレッシャーにさらされているため、写真を加工した時には開示するよう義務付ける法律ができました。

 SNSや動画共有サービスのこうした影響については、日本では実態調査がありません。
 もちろん、思春期の子供たちにとって、自分と他人を比較して落ち込んだり、誰かに認められたいと思ったりすることは自然のことだともいえます。
 思春期の発達段階を踏まえたネット対応が重要になっています。