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シリーズ・「宗教」を読み解く 325
修道院の祈り㉓
神と一つとなる道の開拓者、ボナヴェントゥラ

ナビゲーター:石丸 志信

 フランシスコ会総長ボナヴェントゥラは、神学者、修道者として、イエス・キリストを見つめながら、神と一つとなる道を開拓し、人々をその道に導いた。

 ボナヴェントゥラの代表作『大伝記』は、アッシジの聖フランシスコの生涯を記した伝記だといわれる。
 創始者の忠実な記録に留まらず、「第二のキリスト」、すなわちキリストを愛し、キリストと共に生き、キリストと一つとなった聖人の記録として、神との愛の合一に向かう者たちに模範を示す作品となった。

 著者自身が、アッシジの貧者・聖フランシスコの歩みの中にいるキリストの姿を見つめているので、聖人の人生の中に具現化した神の愛と人間が神にささげる美を見いだしていく。
 彼の『大伝記』は、信仰と理性を総動員して、救い主として来臨された神の独り子を探求する営みだといえる。

▲ボナヴェントゥラ(ウィキペディアより)

 ボナヴェントゥラは、修道院の伝統的な祈りの一形態である「観想」を通してこの探求を進めた。
 彼は霊的著作の一つ、『三様の道』の中でこの道筋を明らかにしていく。

 三様の道とは、「浄化」「照明」「完成」。「浄化は平和に、照明は真理に、完成は愛へと導くものである」(『観想の道 三様の道・生命の完成』ボナヴェントゥラ著 小高毅訳 サンパウロ 2004年、6ページ)。

 その目指す完全なる幸福に至る訓練は、「浄められることを願うのであれば、良心の針に自らをさらしなさい。照らされることを願うのであれば、知性の輝きに[自らをさらしなさい]。完成の域に達することを願うのであれば、知恵の火花に[自らをさらしなさい]」(同、7ページ)というものである。

 さらに、合一への道に至る諸段階を次のように要約している。

 「目覚めて注意深くあれ、『花婿』はすみやかに通りすぎるからである。
 信頼して意を強くもて、彼はかならず来るからである。
 願望に抱かれてあれ、彼は甘美だからである。
 熱意に高揚せよ、彼は至高の方だからである。
 彼への思いに安らぎを覚えよ、彼は美しいからである。
 歓びに酔え、彼は愛に満ちているからである。
 愛着によって彼に合一せよ、彼の愛は強いからである。
 そして信心深い魂よ、いつでも心から主に向かって、『私はあなたを捜し、あなたを請い求め、あなたを欲し、あなたの方に身を起こし、あなたを摑み、あなたの内に歓び、ついにあなたに合する』と言うことができるように」(『キリスト教神秘思想史2 中世の霊性』上智大学中世思想研究所翻訳/監修 平凡社 1997451ページ)

 神のみ言を味わうこと、そこに示された神のみ業を見つめ思い巡らすこと、み言の実体であるメシヤの姿を見つめること、それに倣うことを通して、ただひたすら完成の道を歩み続けるのが信仰者の道であると、中世の修道者は教えてくれる。



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