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心をのばす子育て 46

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

6、意の教育

■夢(目的)をもった国際人に育てよう

●歴史を学び、歴史に学ぶ
 世界に出るには、まず自分が「日本人というアイデンティティ」を身につけねばなりません。世界的に見ても、今の日本の若者に最も欠けているものは「愛国心」です。
 日本という国を愛するというよりは、嫌っている若者が多いのではないでしょうか。日本を愛するには、まず日本という国を知る必要があります。

 日本の歴史を学び、日本という国を知ることが大切です。しかしこれでは未来は見えてきません。日本の学校教育の欠点は、「歴史を学ぶ」けれども「歴史に学ばない」ことです。先見性を得るためには過去の歴史から学ぶことです。
 それは、例えば、歴史を動かした「原因と理由」を考えます。なぜそうなったのか、そうならないためにはどうしたらよかったのかを考えることです。つまり、「もし」を考えるのです。
 よく、歴史に「もし」はないという人がいますが、そうではありません。「もし」を考えるから教訓になるのです。将棋でも対局後に、どうしたらよかったかを考えます。勝負の結果は変わりませんが、「もし」を考えることで成長していくのです。これが「歴史に学ぶ」ということです。
 歴史の年号を覚えても生きていくのにあまり意味はありません。それは単なる知識です。歴史に学んでいないのです。

 具体的に歴史に学ぶには、まず歴史の流れを見ます。ある一つの出来事が、次にどのような影響を与えたのか、どのように変化したのかという流れを見ます。これが「縦的歴史観」です。
 それに対して学校の歴史は、○○年にこんなことがあり、××年にこんなことがありましたという「横的歴史観」です。その年代の出来事は分かっても、流れがよく分かりません。
 縦的な歴史観というのは、漫画の歴史の本や歴史小説に見られる形です。学校の歴史は嫌いだったけれど、歴史小説を通して歴史が好きになったという方は多いのではないでしょうか。

 そして次に、「なぜそうなったのか」という理由を考えます。その時代の人々の生き方、考え方、人々が信じていた思想、宗教を知ることで原因と理由が見えてきます。つまり「思想史、宗教史」を学ぶことで歴史を参考にできるのです。歴史を参考にしながら先見性が養われていきます。

 さらにもう一つ「人物の生き方」を学ぶことが大切です。最近の教育では人物の生き方をあまり扱いません。一世代前の人々は歴史の中に尊敬する人物がいました。今は生きている人(大概はスポーツ選手、歌手などのアーティストなど)にしか目標となる人はいません。
 今の若い人の中には尊敬する人物として親を挙げる人がいますが、昔は親の名前は挙げませんでした。これはもちろん、親を尊敬していないわけではありません。親の名前しか挙がらない、現代日本の歴史教育をもう一度考えなければなりません。いろいろな時代の思想や人物の伝記を、簡単でもいいですから教える必要があります。

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 次回は、「世界の人々の考えを理解する」をお届けします。