家族の絆づくり 35
「競争」から「助け合い」の生き方への転換

ナビゲーター:阿部 美樹

「トップダウン」縦社会の見直し
 高度成長期の管理型社会の主流は「トップダウン方式」であり、競争に打ち勝つ強い組織をつくることができました。しかしそこには、効率的に結果を生み出してきた反面、「させる/させられる」という一方的な人間関係がありました。
 時代の移り変わりとともに、全ての人がより本質的なやりがいや生きがいを求めるようになり、相互に支援し合う「してもらう/してあげる」の関係が注目されています。
 このような関係性は、思いも寄らないユニークな発想やアイデアが生まれたりします。これからの時代は助け合いや利他的な価値観が大切になることでしょう。

引き出し合う関係
 「してもらう/してあげる」関係は、一方が受け身になるのではなく、対等に助け合う関係です。相手の力を引き出し合うのです。
 相手にしてもらうことは、「相手の力を引き出す」ことになり、してあげることは、「自分の力を引き出してもらう」ことになります。ですから、人からしてもらうことも人にしてあげることも、共に「お互いの力を引き出し合う」行為だと言えます。相手のために何かしているようでも、それは自分のためだということです。
 「してあげる」ことは、同時に「してもらう」ことでもあります。お互いに寄り添い、それぞれの強みを生かして「してもらったり、してあげたり」しながら共生する姿勢が大切です。
 自分が誰かのために役立っているという喜びを実感できる関係性こそ、これからの家族や組織の大切なポイントであると思います。