2024.06.29 22:00
ほぼ5分で読める統一運動 7
人類歴史を解放するための「縦的8段階の蕩減路程」
稲森 一郎
1946年11月21日、平壌の大同保安署で拷問され、半死状態で野外に放り棄(す)てられた文鮮明(ムン・ソンミョン)師は、幸いにも弟子によって発見され、手厚い介護の結果、健康を回復し、伝道活動を再開しました。
しかし1948年2月22日、文師は平壌内務署に再び拘束されます。
その再拘束までの約1年3カ月の期間には、神霊の働きによる多くの霊的役事がありました。
伝道が活発化する中で、「私は神の妻である」という老女がいることを耳にし、文師は彼女を訪ねます。そして40日間、霊界からの声によって動かされている老女の命令どおりに仕え侍りました。
このことに関して文師は、「韓国に、神の摂理歴史において中心となる代表的な女性が現れなければなりません。『私の夫は神であり、イエス様です。そして神とイエス様と常に交流しています』という、選ばれた女性が現れなければならないのです」と語られ、さらに、「神が彼女に啓示を与える時に、そのメシヤなる人は、息子のようでもあり、夫のようでもあり、王のようでもあるというように、三つの立場をもつ者として啓示されました」(『御旨と世界』創立以前の内的教会史587ページ)と述べています。
そして、「実際、メシヤが来られる時、メシヤたる者は王として現れるのではなく、人間の基準として最低の所から、最も惨めな僕の僕の立場で現れ、そこから出発します。メシヤはまず、『僕の僕となれ』という啓示を受けて、その人生を人類の僕の僕として出発するのです。またメシヤは、二つの面における完成を全うする使命をもっています。一つは霊界に対してであり、霊的な地獄から天の王座という最高の立場にまで霊的に上がっていくことによって、全霊界の解放者となるべき使命です」(同587~588ページ)と明言されています。
霊界の指示で動いている老女は、朴雲女(パク・ウンニョ)といい、文師はこの女性のもとで、「僕の僕」「僕」の段階から、その次には「養子」「息子」の位置まで上がり、ついに文師が「天の国の王」であると霊界が証しするようになり、神は「彼はあなたの王であるから、彼を王として仕えよ」と朴雲女に命じられたのです。
しかし、朴雲女は神に裏切られたと感じ、文師に不信して気が狂ったようになってしまいました。
この出来事は、縦的蕩減路程として、「僕の僕」「僕」「養子」「庶子」「実子」「母」「父」「神」 の8段階を文師が朴雲女に仕えながら、40日間で勝利されたことを表しています。
1954年5月1日、「世界基督教統一神霊協会」が外的に創立されるまでの背景に、このような内的教会史としての文師の勝利的な歩みがありました。
北朝鮮の共産党支配下でなされた縦的8段階の蕩減路程の勝利は、以後の文師の統一運動の歩みにおいて、外的な勝利圏を実体的に形成するための重要な条件となりました。
縦的8段階の蕩減路程は、文師にとって人類6000年歴史を解放するための不可避的な歩みとして認識されていたのです。
自身を勝利的第三アダム(堕落したアダム=第一アダム、十字架のイエス=第二アダム)とするには、最低の立場である「僕の僕」から出発する以外になく、文師は8段階の全てを勝利してメシヤの位置に立つという原理観に従って、縦的8段階蕩減路程を歩まれました。
サタンが主管する北朝鮮の環境下で、サタンが讒訴(ざんそ)できない勝利の条件を立てられたのです。