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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第191回 日本仏教の宗派と特徴について教えてください①

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は、「日本仏教の宗派と特徴について教えてください」という質問に対してお答えいたします。

 日本の宗教は、神道と共に仏教が多数派を占めています。
 仏教は、釈迦(しゃか)の教えに基づく宗教で、悟りを求める修行が中心です。

 日本の仏教を①奈良時代まで ➁平安時代 ③鎌倉時代以降の3時代に区分して、中心的な日本の仏教13宗派の特徴について2回に分けて解説します。

 奈良時代までは三つの宗派があります。
 その時代は、平城京を中心に学者が仏教を学問的に深めて交流をする時代でした。

 その第一は、法相宗(ほっそうしゅう)です。日本で広めたのは道昭(どうしょう)であり、有名な僧侶といえば行基(ぎょうき)の名前が挙げられます。大本山は奈良市にある興福寺と薬師寺で、それぞれ釈迦如来と薬師如来を本尊とします。

 「空」の哲学から、この世は全てあなたが認識してつくり出したものに過ぎないという唯識(ゆいしき)論を説きます。

 第二は、華厳宗(けごんしゅう)です。日本で広めたのは良弁(ろうべん)であり、明恵(みょうえ)も有名です。
 奈良市にある大本山の東大寺(とうだいじ)の大仏は、宇宙の真理を体現した仏といわれています。

 華厳経は、釈迦の悟りの直後に説かれたことが書かれているといわれる経典です。

 第三は、律宗(りっしゅう)です。開祖は鑑真(がんじん)であり、総本山は奈良市にある唐招提寺(とうしょうだいじ)です。

 僧侶には「不殺生戒(ふせっしょうかい)」(生き物を殺さない)、「不偸盗戒(ふちゅうとうかい)」(盗みをしない)、「不邪淫戒(ふじゃいんかい)」(性行為をしない)、「不妄語戒(ふもうごかい)」(うそをつかない)、「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」(酒を飲まない)など、250の戒律があり、自己を高めて悟りを開く修行を行います。

 奈良時代の仏教は、主に特権階級の人々の学問で一般大衆への布教は禁止されていましたので、檀家(だんか)を持たず特別なお墓はありません。

 平安時代の仏教になると、多くの人が修行して悟りを開こうとする天台宗(てんだいしゅう)と真言宗(しんごうしゅう)が広がりました。

 第四の天台宗は、最澄(さいちょう/伝教大師)によって広められ、総本山は滋賀県大津市と京都市にまたがる比叡山(ひえいざん)・延暦寺(えんりゃくじ)です。

 法華経(ほけきょう)に基づいた宗派であり、密教・禅・戒律・浄土教(じょうどきょう)を融合させた宗派でもあります。最澄は中国の天台山で天台教を学び、天台教こそ最も優れた教えと考えました。

 延暦寺では、法然(ほうねん)、親鸞(しんらん)、栄西(えいさい)、道元(どうげん)、日蓮(にちれん)、良忍(りょうにん)など、後の鎌倉仏教の開祖たちが学んだので、仏教の総合大学のような存在でした。

 延暦寺の根本中堂に1200年以上消えずにともされ続ける「不滅の法灯」と呼ばれる灯明があります。

 これに関して最澄は、「「明らけく 後の仏の御世(みよ)までも 光りつたへよ 法のともしび」という言葉を残しました。
 これは、「法華経の教えの光を、末法の世を越えて弥勒菩薩が来られるまで、消えることなく比叡山でお守りし、世を照らすように」という願いを込めた内容でした。

 第五の真言宗は、空海(くうかい/弘法大師)によって開かれ、総本山は和歌山県に位置する高野山(こうやさん)・金剛峯寺(こんごうぶじ)です。
 大日教(だいにちきょう)などの真言密教(しんごんみっきょう)をもとに修行する宗派です。

 空海は、高野山の奥之院で入定(にゅうじょう)する前に、「弥勒菩薩と共にこの世に戻る」の遺言を残しため、今も奥之院で禅定(ぜんじょう/永遠の瞑想)をしていると信じられています。

 このような仏教の特徴を統一原理の観点から見ると、真理を求めて悟りを開くための修行の姿は、創造目的完成のために精誠を尽くす信仰生活と似ています。

 戒律を守るための修行もモーセの十戒を思わせる内容であり、不滅の法灯や奥之院入定に際する弥勒菩薩の下生(げしょう)の預言は、メシヤ(救世主)降臨の預言との類似性も見られます。

 宗教に与えられた共通の使命を感じます。

【参考】
YouTube「日本仏教13宗派分かりやすく全解説」(筬島正夫氏)


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