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心をのばす子育て 40

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

5、知の教育

②頭の知的教育

■自信を育てるためには

●誉めることから、励まし期待する
 ここで誉(ほ)めるということについて注意しなければならない問題があります。誉めることは大切で必要なことなのですが、誉めたら逆にだめになるケースもあるのです。それは子供が誉められることを期待して、誉められることしかやらなくなったり、誉められないと何もやらなくなったりする場合です。

 ある米国のネズミを使ったおもしろい実験があります。T字型の迷路にAのネズミには必ず右の道にエサを置いておくのです。BのネズミはAと同じように右にエサを置きますが、時々置いていないことがあります。早く道を覚えるのは、やはりAのネズミのほうです。そしてBAほど早くはありませんが道を覚えます。

 ところが、こんどはエサを置くことをやめると、Aのネズミは最初のうちは右のほうに行くのですが、そのうちエサがないことが分かると行かなくなってしまいます。ところが、Bのネズミはエサがなくても行き続けるのです。

 このように褒美につられたほうが早く覚えるのですが、褒美がなくなるとやめるのも早いのです。子供も誉めて認めてあげることは大切で、誉め続けていると早く覚えるかもしれませんが、誉めることをやめるとやらなくなってしまうのです。

 また、もう一つの問題は良いことをした時には誉められるのですが、失敗したときには誉めにくいということです。そうすると子供は、誉められないこと、つまり失敗することを恐れてチャレンジしない子になる可能性があります。

 このように誉められ続けていると、誉められるようなことしかやらず、誉められないとやめてしまうのです。誉めることが間違っているわけではありません。しかし、誉めることの欠点も知っておかなければならないということです。

 誉めることの欠点を修正するためには、もう一つ次元を上げればいいのです。それは「励ます」という点を付け加えるのです。アドラー心理学では「勇気づけ」といっています。

 誉めることが結果に注目しているのに対して、励ますことは「途中の努力」に注目します。たとえ結果はだめでも努力したことを認め、次に頑張るように励ましていきます。

 そして、子供に対して「肯定的な期待」をします。子供は親の期待を自分の中に取り込みます。親の期待に応えようと思うのです。子供を成長させるのに大きな力をもつのが「期待」です。

 逆に「この子は失敗するかもしれない」といった「否定的な期待」をすると、子供は自分の可能性に疑問をもち、チャレンジできなくなります。

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 次回は、「子供の才能をつぶすもの」をお届けします。