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男女の違いと夫婦の関係 28

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「男女の違いと夫婦の関係」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 あなたは知っていますか? 男性と女性の違い。同シリーズでは、男女の考え方の根本的違いを知り、夫婦がお互いを理解しあって、本当の「幸せ」をつかむためのキーポイントをお伝えします!

松本 雄司・著

(光言社・刊『男女の違いと夫婦の関係-ほめられたい夫 愛されたい妻-』〈2019年3月30日第4版発行〉より)

第二章 男と女の違いと結婚生活

1 男女の生理的・心理的違い

6)一度に一つしかできない男、マルチにこなす女

 最近は脳の研究が進んでいます。脳の機能からくる男性と女性の違いについてお話ししてみたいと思います。

 男女の違いは、特に言葉に関する機能において顕著にその特徴が見られます。男性は言語を司る部分が、左脳の前後にだけあるのですが、特定の決まった部位がないと言われます。
 そこから出てくる男性の特徴は、一方向集中型。物事を一つずつ集中してこなしていく能力が優れています。従って、会話するときも単刀直入で論理的です。

 筋道を立てて問題解決、あるいは結論を追求するというふうに、ずっと直線的に深めていく思考をします。

 一方、女性は左脳だけでなく右脳にも言語を司る部分があって、その部分がはっきりしています。しかも左右の脳の連絡がよく取れる仕組みになっているようです。ですから、マルチにいくつかのことを同時にこなせるという能力があるのです。

 最近ベストセラーになった『話を聞かない男、地図の読めない女』という本にもそのことが書かれています。

 私自身の体験でも、長い間理解できなかったことがありました。「これは自分の性格で、あれは彼女の性格なんだ」と思い込んでいたことがありました。ところが研究してみると、実はそれは「男と女の根本的な違い」なのだということが分かってきたのです。

 例えば、わが家でこういうことがありました。今は大学に行っている娘が、中学校の頃、いつもテレビをつけたまま勉強するのです。

 「テレビを消したら?」

 「どうして?」

 ま、寂しがり屋だからしょうがないか、と思っていましたが、高校になっても、いつもテレビをつけたまま宿題や試験勉強をしています。

 「おねえちゃん、もうテレビは消しなさい。高校になったら、勉強も中途半端なことじゃだめだよ」

 と言いました。すると娘は、

 「ええ? どうしてテレビを消さないといけないの?」

 「だって集中できないでしょう?」

 「別に、あんまり変わらないわよ」

 「いやそんなことはない。集中できるわけがない」

 私は固くそう思うのです。所詮はテレビを見ながらやっているのだから、集中できているはずがない。私自身がそうだから、当然娘だって同じなはずだと考えます。

 ところが、娘はそこそこの点は取ってくるのです。「不思議だなあ、最近の子供は『ながら族』が多いというからそうなのかな。それとも彼女と私の性格の違いなのかな……」と思っていたのです。

 また、妻もいろいろな能力を持っています。近所の女友達が来ると、洗濯物をたたんだりしながら、おしゃべりをします。ある時、その話し方を見て唖然としました。なんと「二人とも同時に」しゃべっているのです。

 男同士であれば、聞くときはちゃんと聞く、話すときは話す、つまりこちらが物を言っているときに相手が話し始めたら、「ちょっと待て。まず聞いてくれ」と言います。
 しかし、女性は双方とも同時に平気で話しています。それでもちゃんと理解できるのです。要するに、話すことと聞くことが同時にできるわけで、これも脳の機能の違いらしいのです。

 これだけでも驚嘆に値するのですが、もっと驚くべきことがありました。
 ある日、テレビをつけたまま、妻は近所の友人とおしゃべりをしていました。私がテレビを消すと、

 「アッ、どうして消すの?」

 「だって、見てないんでしょ」

 「見てるわよー」

 「?……まさか」

 私は後で聞いたのです。

 「あなたはあんなに人としゃべっているのに、テレビまで見ているの?」

 「見てるわよ」

 「じゃ、きょうのドラマの筋書きを言ってごらん」と言うと、

 「ああして、こうして、こうなったわよ」と言うのです。

 「へーッ」と驚きました。ちゃんと物語の流れを押さえているのです。これは男性である私から見たら驚異です。

 男性の読者の皆さんはいかがですか? たいがいの男性はそう器用にはいきません。

 私がテレビを見ているときに妻が何か話しかけても、私は返事をしないのが普通です。また、妻が「あの時言ったじゃない」と言っても、

 「聞いていないよ」

 「言ったわよ」

 「聞いた覚えはない」という押し問答になることも少なくありません。

 私は妻と娘からよく笑われたものです。

 「ほんとにお父さんったら、だめねえ。テレビを見たら何にも聞こえなくなっちゃうんだから」と。

 ですから、私と妻の性格の違いなのかと思ってきましたが、実はこれは、根本的に男と女の違いからきている問題だということが分かって、やっと名誉挽回できたのです。男は基本的に一度に一つのことしかできません。

 そう考えてみたら、女性が運転しているときにおしゃべりしても、一つの脳でこれをやり、別の脳で運転をしているので、そんなに支障はないのかもしれません。
 しかし、男性の運転中にいろいろなことを話すのは考えものです。ただ聞き流していればいいような話ならいいのですが、「あなたどう思う? どうなの?」などと答えを求めたり、深刻な話は禁物です。
 話しかけられたら必ず「回答しなきゃ」と考えるのが男性ですから、すぐに意識が頭の方に行きます。すると手の方はお留守になって、赤信号も飛ばしてしまいます。「あら、なにやってんの! 危ないわよ」そうしたら夫は怒ってしまって、

 「なに! あんたが話しかけるからじゃないか。うるさい!!

 となるのです。

 そういう男性と女性の違いがあります。そうしてみると、ここから教訓が出てきます。
 男性には同時にあれこれ頼んではいけないということ。そして、できないのを見て、「うちの旦那はだめなのよ」とばかにしてはいけないのです。それは夫の性格だと思っているかもしれませんが、実は「男性の特徴」なのです。

 女性はおしゃべりしながら同時にいろいろなことをこなします。男性から見たら、いいかげんなんだろうとか、宇宙人に見えたりするかもしれません。しかしそれは神が女性に与えた特殊な能力なのです。

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 次回は、「相手に対する期待の違い」をお届けします。

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