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ほぼ5分で読める勝共理論 27
マルクスが唯物論を書いた理由

編集部編

マルクスは神を恨んでいた
 マルクスが唯物論を書いた理由は、主に二つです。

 一つ目は、疎外論のところで詳しく説明しましたが、ずばり、マルクスが神を恨んでいたからです。
 これは分かってみると、推理小説を読むように、なるほどという解答が得られます。

 マルクスは、神を恨むぐらいですから、神の存在をかなり確信していました。
 もし、「神を信じてはいるけれども、本当にいるかどうかはよく分からないんだ」という程度だったら、本気で神に復讐する、そのために生涯を懸ける、ということはまずできないでしょう。

 たとえ実在する人を恨んで復讐するといっても、それで人生を棒に振るというのはよほどのことです。
 マルクスはそれほどまでに神を恨んでいた、ということです。

 さて、マザー・テレサの有名な言葉で、「愛の反対は憎しみではなく無関心です」というものがあります。
 本当に愛していないなら、憎しみを持つのではなく、無視するというわけです。

 マルクスの唯物論もこれと同じです。
 マルクスは神を恨みましたが、人々が神を嫌いになる理論は作りませんでした。「神は存在しない」という理論を作ったのです。

 「どうだ神様、みんながあなたを愛していない。憎んでもいない。何しろいるとさえ思っていないのだ。どうだ、悲しいだろう。どうだ、つらいだろう」
 そんな思いで唯物論を書いたのです。

 そしてその結果、共産主義が世界中に広がることで、神を信じない人が増えていきました。
 これは日本でも同じことがいえます。日本はもともと神仏を信じる人が多い国でした。ある総理大臣が、「日本はもともと神の国なのだ」と発言して問題になったことがあるぐらいです。

 昔は家に神棚があって、手を合わせることも珍しくありませんでした。
 しかし戦後、学生運動が盛んになって、多くの若者が共産主義を信じるようになりました。そして、神を信じない人が増えていったというわけです。
 マルクスの狙いどおり、ということになるでしょう。

宇宙の根本は物質?
 そしてもう一つの理由は、暴力革命を正当化するためでした。
 もし宇宙の根本が精神であれば、どれだけ社会矛盾を指摘しても、その解決は精神的な方法によるでしょう。

 例えば、社会に問題がある、それを根本的に解決するには、人々が人間愛を持つべきだ。そうすれば貧困は解決する。人間らしい生き方を見いだすこともできる。それが可能かどうかは別として、理屈の上では問題の解決は精神的な方法になるはずです。

 ところが宇宙の根本が物質なら、問題の解決は物質的な解決になるはずです。
 それでマルクスは、社会の根本には生産関係があると言いました。社会の土台には経済的な関係があって、その土台の上に社会とか国家がつくられているというのです。

 だから社会に問題があれば、その土台である経済的な関係を変えないといけない。そうでないと本質的な解決にはならない。だから革命しかないんだ、というわけです。

 最後に、唯物論の代案を説明します。
 前回紹介したアインシュタインの理論から考えると、物質と精神は対等で、かつ、交換が可能です。
 また詳しくは説明していませんが、物質は粒子性という粒の性質と、波動性という波の性質を同時に持っています。

 こうしたことから考えると、「宇宙の根本は精神と物質の根本の統一体である」と考えられます。
 これを勝共理論では、唯心論でも唯物論でもなく、「唯一論」と呼んでいます。

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