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青少年事情と教育を考える 264
日本語教育が必要な児童生徒

ナビゲーター:中田 孝誠

 現在の学校現場の重要課題の一つに、日本語指導が必要な児童生徒への教育があります。

 文部科学省の調査によると、日本の学校や外国人学校に在学しておらず、不就学または就学が確認できなかった子供は8183人です(文科省『外国人の子供の就学状況等調査』2022年度)。

 3年前の2019年度は約2万人でしたから、半数以下に減少しています(実際には転居で不就学になったり、外国人学校に在籍していたりする子など、教育委員会が把握しきれないケースもあり、人数は前後する可能性もある)。

 一方、小中高校などに就学していて日本語指導が必要な外国籍の子供は4万7619人です(同『日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査』2021年度)。

 2014年は2万9千人余りですから、7年間で約2万人増えたことになります。子供たちが在籍する学校数は8400校余りです。

 また子供たちの言語は、ポルトガル語(25.1%)、中国語(20.9%)、フィリピノ語(15.7%)が高い割合を占めていますが、スペイン語、ベトナム語など多岐にわたっています。

 子供たちへの指導は、学校に配置した日本語指導担当教員や母語支援員を中心に行われていて、複数の学校を巡回して支援する場合もあります。
 子供だけでなく、日本語が分からない保護者への対応も課題です。

 文科省のウェブサイトでは、外国人児童生徒らの学習を支援する情報を集めた「CLARINET」「かすたねっと」というページを設け、支援情報などを発信しています。

 また、文科省の有識者会議が2020年に出した提言『外国人児童生徒等の教育の充実』は、「外国人の子供たちが将来にわたって我が国に居住し、共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であることを前提に制度設計を行うことが必要」で、学校卒業まで見据えた体系的な指導・支援や、国際的な視点を持って社会で活躍する人材になり得る点も重視した指導を提言しています。

 日本語指導が必要な子供は今後も増加が予想されます。
 外国人の受け入れについてはさまざまな議論がありますが、どちらにしてもこうした子供たちの支援をどうするかは、日本の将来にとって重要課題であることは間違いありません。