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ほぼ5分で読める勝共理論 25
「共産主義唯物論」とは

編集部編

 今回から、唯物論についてお話しします。

有神論か、無神論=唯物論か
 世の中には、神を信じる人、神を信じない人がいます。
 神を信じる人の立場を「有神論」、信じない人の立場を「無神論」といいます。唯物論は、無神論とだいたい同じ意味です。

 ただ、マルクスが作った唯物論は、唯物論の中でもより強烈で、かなり攻撃的な理論です。
 これを「共産主義唯物論」といいます。「戦闘的唯物論」といったりもします。

 ところで、日本人の中で無神論の人はどれだけいるでしょうか。

 「いやいや、僕は神なんか信じないよ。というか、僕の周りもみんな無神論じゃないかな。日本はキリスト教とかイスラム教の国じゃないし、だいたいの人が無神論者だと思うよ」、そう思ったかたもいるかもしれません。

 でもその意味で「日本人が神を信じていない」というのと、共産主義の唯物論とはちょっと違います。

 日本では、お正月にはたくさんの人が神社にお参りに行きます。
 お彼岸には、ご先祖さまの供養ためにお墓参りをします。
 あるいは受験シーズンになると、学問の神様が祭られている神社に行って、合格を祈願する受験生がたくさんいます。

 日本には、神様や仏様、あるいはご先祖さまといった存在を、なんとなく信じている人がたくさんいるんですね。
 たとえその存在をはっきりと信じているわけではないとしても、そうすれば何かいいことがあるんじゃないか、逆にそうしないと縁起が悪い…。そんなふうに、何か目に見えない力を信じているわけです。

恐ろしい唯物論
 一方で、共産主義の唯物論では、この世界には物質しか存在しない、それが科学的にも正しいんだ、ということを徹底します。

 「神は存在しない。霊魂も存在しない。縁起がいいも悪いもない。だからお参りもお墓参りもやってはだめだ。
 人間の心だって、脳という発達した物質の電気信号でしかない。
 人を思いやる気持ちとか、家族を大切にする気持ちだってそうだ。あれはただの電気信号なんだ。宗教なんて詐欺だ。だから信じる人がいたらやめさせないといけない」というわけです。

 ちなみにマルクスは、「宗教はアヘンである」と言いました。宗教を信じたら駄目な人間になる、という意味です。

 皆さん、いかがでしょうか。
 こんな考えが徹底されたら社会はめちゃくちゃになると思いませんか。

 神を信じることは幻想。人を思いやる心も幻想。家族を大切にしたいと思う心も幻想。倫理も道徳も幻想。目に見えないものは全て幻想だ、というのです。

 人が信じられなくなって、家族も信じられなくなって、最後は自分自身まで信じられなくなってしまうでしょう。

 そして何より、人間もただの物質だというわけですから、突き詰めれば人間と、その辺に転がっている石ころと同じ価値だということになります。
 人が死んでも、石ころが割れたのと同じ意味になってしまうのです。

 共産主義によって、世界中でたくさんの人が殺されました。
 中国や北朝鮮では今でもたくさんの人が弾圧を受けています。これは、徹底した唯物論が広がった結果だともいえます。

 こんな考えが日本にも広がったら、大変なことになってしまいます。

 今回は、共産主義の唯物論がいかに危険な思想なのかを説明しました。皆さんにもその恐ろしさが伝わったでしょうか。

 次回は、マルクスがどのようにして唯物論の思想を作り上げたのか。
 その具体的な理論の内容について説明します。

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