2024.04.16 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
韓国総選挙、最大野党が単独過半数
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、4月8日から14日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
英外相、トランプ氏と非公式会談(4月8日)。37歳、アイルランドで最年少首相(9日)。韓国総選挙、野党圧勝(10日)。習近平氏、台湾前総統と会談(10日)。ハマス指導者ハニヤ氏の息子3人、イスラエル軍の空爆を受け死亡(10日)。プーチン大統領、2年前の停戦交渉合意案に同意の意向示す(11日)。イランがイスラエルに報復(14日)、などです。
韓国総選挙が4月10日に行われました。3月28日から13日間、小選挙区の254議席、比例代表46議席の計300議席を巡って与野党が熾烈(しれつ)な選挙戦を繰り広げたのです。
結果は与党「国民の力」が6議席減の108議席となり惨敗。最大野党「共に民主党」は175議席(選挙前156議席)を獲得し単独で過半数を獲得して圧勝。さらに曺国(チョ・グク)元法相が3月に入って立ち上げた新党「祖国革新党」が比例で12議席を獲得し、第三党となりました。その他、5議席です。
今回は、期日前投票が31%で過去最高でした。投票率は67%(4月11日暫定値)で前回2020年より0.8%上昇です。
この結果を受けて、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は「全ての責任は私にある」と語り、辞任を表明しました。
選挙の結果、与党惨敗となりましたが、大統領の弾劾訴追案を可決できる200議席を野党が得るまでには至りませんでした。かろうじて全議席数の3分の1(100議席)超を確保できたからです。野党の改憲案を阻止できる議席数でもあります。
総選挙は政権の「中間評価」といわれていますが、実際の選挙戦は政策論争というより、捜査機関と冤罪(えんざい)を訴える被告の公開裁判のような様相でした。
「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表や「祖国革新党」の曺国元法相は、いずれも自らのスキャンダルを抱えながら、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻の資金疑惑を追及することに批判を集中するなど「泥仕合」となってしまいました。
今後野党は総選挙での圧勝を背景にして、尹政権に対日関係の修正を迫ろうとするでしょう。
「共に民主党」は総選挙の公約で、元徴用工や慰安婦の問題で「日本企業や政府の直接補償」を求めていました。
日米韓の安保協力についても、「北朝鮮との対立をあおっている」と非難していたことから、3年余りの任期を残す尹政権は困難な運営を迫られることでしょう。
圧勝した野党にも懸念材料はあります。曺国氏と李在明氏は、それぞれ深刻な司法リスクを抱えているのです。
今後、最高裁が曺国氏の上告を棄却すれば、懲役2年が確定します。その結果、議員職を失うのです。今後、野党も波乱含みの展開が予想されます。
もう一つの注目点を挙げておきます。
事前予測に反して勝利を収めたのが「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)代表です。
「国民の力」、「共に民主党」の双方が候補者を出した首都圏の選挙区に出馬して当選したのです。
李氏は2022年の大統領選では、「国民の力」の代表として尹氏が若年層から票を集めるのを助けました。30代の若手リーダーとして注目を集めたのです。
今回は、党内対立から離党して新党で活動開始したのですが、比例2議席を合わせて3議席を獲得したのです。
今後、北朝鮮の動向を踏まえれば、連動しての内外問題の顕在化が予想され、波乱含みの展開は必至です。
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