2024.04.06 17:00
心をのばす子育て 33
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
5、知の教育
■反発されない言い方
子供を躾(しつ)ける目的は「主体性を正しい方向に向かせる」ことであると思えば、無理やり子供を押さえつけて、言うことを聞かせることは慎まなければなりません。
指示と命令をしていると主体性は消えていきます。子供自身の意志で主体的に行動させながら、その行動の結果に責任をもてる子供に躾けなければなりません。これは親子のコミュニケーションの中で躾けるものです。
ただ、躾けというのはどうしても反発されやすいという側面があります。
親が子供にかける言葉の中で最も多いのが「勉強しなさい」です。ところが子供は「勉強しなさい」と言った瞬間に、「その一言でやる気を失った」と言うのです。
なぜ反発するかというと、勉強しなさいと言う背後には、言わなければ勉強しないものだと決めつけている親の気持ちがあるのを感じるからです。
さらに指示と命令だから反発するのです。指示と命令は主体性の豊かな子供ほど反発します。言い方を少し工夫する必要があります。
ただ、どんなに工夫した話し方でも、子供との関係がこじれている時は何も入りません。躾けは親子の情関係がいい時に行う必要があります。
●選択権を与える
子供の成長には「親の責任」と「子供の責任」があると述べました。
では、この親の責任と子供の責任とは何かというと、大きな枠は親が決めて、その中で何を選ぶかは子供の責任と考えるのです。子供に「選択権」を与えるのがいいのです。
ですから「勉強をしなさい」といきなり言うのではなく、例えば「おやつを先にする? 勉強を先にする?」というふうに選択を与えるのです。
そうすると子供が考えて「おやつを先にする」と言えば、「じゃあ、勉強は何時からするの」と聞くのです。子供が「うん、9時からにする」とでも言えば、9時までは黙って見ているのです。
そして9時になったら、「9時よ」と言えば子供は素直に部屋に行くものです。これが反発を起こさない対話の一つの例です。
●子供の気持ちを受け止める
子育てをしていると、子供は時々ドキッとすることを言うときがあります。「学校に行きたくない」「あの先生は嫌いだ」「友達にいじめられた」「○○君とケンカした」など、いろいろなことが起こってきます。この時のコミュニケーションが大切です。
このとき対処を間違えると大変です。
例えば「学校に行きたくない」と言った時、親が「どうしてそんなことを言うの」とか「バカなことを言っていないの」といきなり言ったら、子供は「親はちっとも自分の気持ちを分かってくれない」と思うでしょう。
子供との関係を大切にしようと思うなら、まず、行きたくないという子供の気持ちを受け止めてやらなければいけません。
これは「同意した」ということとは違います。あなたの気持ちを「受け止めた」ということです。
そしてそのことを子供に伝えます。それは子供の言葉を親がもう一度繰り返すのです。「行きたくない」と言ったら、「そう、行きたくないの」とまず子供に返します。その言葉で子供は安心して話せるようになります。
まず子供の話を聞こう、子供の気持ちを理解しようとする心が必要です。そして子供との対話を通しながら、子供はどうしてそういうことを言いだしたのだろうと「理解」しようとします。
親はドキッとすると冷静になれなくて、いきなり自分の意見を言って対話を切ってしまうことがあります。
そうすると、そこから会話が続かなくなり、子供の心の中に、親は自分のいうことを何も聞いてくれなかったという不満だけが残ります。子供は自分の言葉を親がもう一度繰り返すことで、「自分の気持ちを知ってもらえた」という安心感ができるのです。
その後、解決の方法がすぐ見つからなくても、親が自分の気持ちを知っていると思うだけで子供の情は安定していきます。自分の気持ちを理解してもらえないことほど苦しいことはありません。
---
次回は、「アイ(私)・メッセージ」をお届けします。