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心をのばす子育て 32

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

5、知の教育

①心の知的教育

■可愛い子には旅をさせよ

 子供をたくましくすることを考えるなら、若い時に家から出して一人暮らしをさせることです。
 一人で暮らすようになれば、すべてのことに自分一人で責任をもたなければなりません。お金などの使い方も考えなければなりません。欲しい物があってもむやみに買うわけにはいかないのです。我慢しなければなりません。
 子供を鍛えるならば「少しの苦労」をさせることです。苦労することで人の苦労や悲しみが分かるようになり、情の厚い人間になっていきます。

 また、一人暮らしをすることによって、いかに親に愛されていたか分かるようになります。
 家にいれば食事も洗濯も掃除もすべて親がやってくれます。親にしてみれば子供のためにと思ってやっているのですが、子供は愛されているとは思っていません。当たり前と思っているのです。
 親のありがたみは家にいては分かりません。一人になって初めて分かるのです。すべて自分がやらなければ何も始まらず、終わらないのです。

 また、「必要は発明の母である」という言葉があります。困ったことがある時に人間はいろいろと考えます。その時に創意工夫という創造性が発揮されます。満足している時には創造性は出てきません。

 このように苦労は子供を成長させます。「若い時の苦労は買ってでもしろ」と昔の人も言いました。現代は子供に苦労させないようにと考えて子供をダメにしています。
 ただ、中には苦労し過ぎてゆがんでしまった人もいます。子供に与える苦労は子供の成長に応じて「量」を見極める必要があります。苦労し過ぎたり、我慢し過ぎるとあきらめにつながります。そうするとやる気が消えてしまいます。

 やる気・意欲というものは「満たされている時」と「あまりにもほど遠い時」には出てこないものです。「もう少し」で手に入る、達成できるという時に意欲は高まるものです。

 さらに「目的(希望)のある苦労」が子供を成長させます。希望のない苦労や意味のない苦労は苦しいだけです。成長にはつながりません。

 この一人暮らしをするときに気をつけなければならないことがあります。一人になることで親の目から離れ、好き勝手をしてしまう場合があるのです。
 このようになる子供は基本的な「自立心」が育っていないのです。小さい時から親に押さえつけられていたので、開放されてダメになるのです。ですから一人暮らしをさせるにしても、その前に基本的な「善悪観、性、社会性、責任感」などは養っておかなければ逆効果になってしまいます。

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 次回は、「反発されない言い方」をお届けします。