2024.03.19 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
プーチン氏再選、しかしナワリヌイは「生きて」いる
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、3月11日から17日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
ロシア治安当局、韓国人男性をスパイ容疑で拘束していたことが明らかに(3月11日)。韓国、日韓60年で共同文書に意欲(11日)。米大統領選、両党の指名が確定(12日)。ナワリヌイ氏の側近・ボルコフ氏、襲撃される(12日)。韓国政府、拉致被害者の解決に向けた新計画発表~日本と連携強化(14日)。イスラエル首相、ラファ侵攻計画を承認(15日)。ロシア大統領選、プーチン氏再選(17日)、などです。
4年に一度のロシア大統領選挙が3月15日から17日、全土で行われました。
17日深夜、プーチン氏は自身の選対本部を訪れて、「選挙結果は国民の信頼と期待の表れだ」と勝利宣言。「ロシア人は一つの家族だ」と国民の団結を鼓舞し、ウクライナ侵略を「ロシアの主権を守る戦い」だと正当化しました。
選挙結果は、プーチン氏の得票率87.28%で、投票率は77.44%、いずれも過去最高の数字でした(数字はNHKの報道より)。今回から電子投票システムを導入したことの影響もあるようです。
これでプーチンの「支配」は、彼が77歳になる2030年までとなり、合わせて30年間になります。就任式は5月です。
大統領選の候補者は合計4人でした。プーチン氏以外3人はいずれも体制内野党であり、基本路線は変わりません。
プーチン氏は政権与党の「統一ロシア」の支援を受け無所属で出馬。他に、政党「新しい人々」のダワンコフ下院副議長(40歳)、「ロシア共産党」ハリトノフ下院議員(75歳)、「自由民主党」のスルツキー党首(56歳)が闘いましたが、公開論戦にプーチン氏が参加したことは一度もありませんでした。
ウクライナ侵攻に明確に反対するボリス・ナデジディン元下院議員らの立候補は、集めた署名の不備が指摘され、認められませんでした。同氏は最高裁に提訴しましたが棄却されています。
投票はロシアが占領した東・南部の4州でも実施されました。ロシア軍の支配下で、期日前投票も進められたのです。
英BBCは、親ロシア派の協力者が武装した兵士を伴い、投票箱を持って有権者の家を訪問しているとの住民の証言を報じ、無料でコンサートや食事に招き、投票を呼びかけていることも報じています。また全体的には公務員や国営企業の従業員への有形無形の締め付けがあったことも報じました。
プーチン大統領の最強の政敵であったナワリヌイ氏は2月16日、突然刑務所で亡くなりました。血栓症によるとされています。
彼は2011年、プーチン氏を含むロシア政府要人の汚職を追及する「腐敗防止財団」を率いて登場し、ブロガーとして抜群の発信力と動員力を発揮して何回も「反プーチン」デモを指揮しました。
同財団は2年前に国際組織に再編され、ナワリヌイ氏亡き後も西側に亡命したかつてのオリガルヒ(新興財閥)などが資金援助で支えています。
ナワリヌイ氏は、ウクライナ侵攻を「狂った人物が始めた愚かな戦争だ」と糾弾していました。
ナワリヌイ氏の妻ユリア氏はSNSで、投票最終日の17日正午に投票所に行き、プーチン氏以外の候補者に投票するか、投票用紙を破棄するよう国民に呼びかけていました。
当日正午、モスクワなど各地の投票所では抗議行動に参加する有権者の行列が見られました。
ナワリヌイ氏は「生きて」います。その志は受け継がれて、大統領選後のプーチン体制を揺り動かす可能性を秘めています。
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