2024.03.16 17:00
心をのばす子育て 30
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
5、知の教育
■自己コントロール
●役割を与える
具体的に子供に責任感を教えるには、子供に家庭で「役割(責任分担)を与えること」と「ルールを決めること」が必要になります。子供の役割は何でもかまいません。
例えば雨戸を開けること、キャンプで缶切りを持っていく役割、金魚のえさをあげる役割などいろいろあります。まず「責任を与えて任せること」から始まります。
親として注意しなければならないのは役割を失敗した時です。その時に取る親の態度で、子供の責任感が養われます。
例えば、子供が金魚のえさをやり忘れたとします。ここでよくやる親の失敗は、子供が見るはずの金魚の面倒を親が見てしまうことです。これでは責任感が育ちません。
この場合、金魚にはかわいそうですが、自分がえさをあげないと金魚が死ぬことを教えなければいけないのです。子供が責任を果たさない時に親が責任を取ってしまったら、子供の責任感が育ちません。自分が責任を果たさないとあとで大変なことになるのだということを学んだら、その後気をつけるようになるのです。
ただ子供の責任感が育ってきても、うっかり忘れるということもあります。その時、子供に「忘れているよ」と言うのがいいでしょう。毎回黙っているとしたら意地悪です。あくまで責任感を勉強させる時だけ黙って任せるのです。
●ルールを守る大切さ
子供が大人になって社会に出れば社会のルールの中で生活します。スポーツにもルールがあります。どこに行ってもルールはあります。ルールを皆が守って行動するから、楽しめるのです。
ルールを無視して行動したら、周りの人は気分を悪くします。ですから、子供にはルールを守ることの大切さを教えなければなりません。
そのためには家庭の中でルールを決める必要があります。
例えば、子供が友達と遊びに行きたいと言い出したとします。そのとき、遊びに行きたいのなら「部屋を掃除してから行く」とルールを決めます。
ところが時間になっても、全然部屋を掃除していません。親としてはいろいろ言いたいでしょうが、ぐっと我慢します。友達と遊びに行く時間が来て、友達が迎えに来て、初めて部屋を掃除していないから行けないことを言います。
当然、子供は「今回だけは許して。帰ってきたら必ずやるから」と泣いて頼むことでしょう。しかし、ここで妥協してはいけません。お友達に「今回はこういう理由でいけないからごめんね」と謝って、行ってもらいます。ルールを破るということの結果を子供に体験させるのです。
これを妥協していくと無責任な子供、平気で約束を破る子供になります。子供を躾(しつ)ける時には親の毅然(きぜん)とした態度が必要になります。このルールには家庭のルール(倫理)もありますが、社会のルール、人間としてのルール(道徳)も大切です。それらをまとめて「人生観」と言います。
心の「知」の教育ではこの人生観を教えることが重要になります。この人生観を親がまずしっかりと学んでおかないと人間は教育できません。
これは前述したように学校では限界がありますから、家庭で教えるしかありません。
こうして子供に責任感が備わってくると、創造性と主体性がさらに啓発されてきます。仕事でも責任をもたされると真剣になります。人から言われなくても主体的に働くようになります。
そして、どうしたら責任を果たせるだろうか、もっと良くなるだろうかと考えるようになります。その時に知性が働き、生み出されるものが創造性です。責任感のない人は言われたことしかやりませんし、言われないと何もしません。
このように、主体性と責任感は表裏一体なのです。
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次回は、「ルールと罰」をお届けします。