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心をのばす子育て 29

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

5、知の教育

①心の知的教育

■自己コントロール

●子供の責任
 日本の子育てに決定的に欠けているのが責任感です。実に無責任な若者が増えています。小さい時から子供の責任感を育てておかないと、将来取り返しのつかないことになる可能性があります。
 本来、子供の成長には「親の責任」と「子供の責任」という親子それぞれの責任があります。
 ところが、日本では「子は親の鏡」という言葉に象徴されるように、子供の問題はすべて親の責任ととらえるところがあります。
 ですから日本の親は、子供が失敗しないように、苦労しないようにと考えて、先駆けて道を整えます。

 その結果、子供は自分で責任を取ることをせずに親に頼り、甘える無責任な子供になってしまうのです。借金を繰り返す若者、仕事をしないで家でゴロゴロする若者など、すべて子育ての失敗の結果です。
 たくましい子供に育てようと思うなら、親は親の責任のみを果たし子供の責任には関与しないことです。世話を焼き過ぎる(過保護)ことは子供の責任を奪うことになります。これでは子供をひ弱にするだけです。
 子供を信頼して子供の責任は子供に任せなければなりません。

 ところが逆に、子供に責任を与えるというとすべてを与えてしまう親がいます。すべてを子供の判断に任せてしまうのです。
 しかし、これは親の責任放棄です。子供にすべてを任せると子供はわがままになってしまいます。完全に子供に任せるのは責任感が育って一人前になってからです。
 このように子供の責任を全く与えないのも問題ですが、すべてを任せるのも間違いです。この二つのバランスが大切です。そのバランスは親のほうが大きいのは言うまでもありません。

 「子供の責任」を育てるには、子供の責任に当たることはその子供に責任を取らせなければなりません。自分のことは自分でやらせるのです。そのためにはいろいろな問題について、これは親の問題か子供の問題かを判断しなければなりません。
 例えば、朝起きて学校に行くのは子供の責任です。もし幼稚園に行く時に寝坊をして、幼稚園のバスに乗り遅れたとします。ここで成すべき方法は、休ませる、車で送るなどいろいろ考えられます。
 しかし、休んで家で遊んでいると楽しいし、車で行くと楽です。その結果、この子はその後簡単に寝坊するようになります。
 こういう時は、遅れてもいいから歩いていくのです。危なければお母さんと一緒に行きます。バスに遅れたら大変だということを学べば、この子は遅れないようになるのです。これが子供に責任を教えるということです。

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 次回は、「役割を与える」をお届けします。