共産主義の新しいカタチ 3

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

〈プロローグ・前編〉
共産主義の「正統と異端」の系譜③

構造改革路線とフロイトの糾合
 米保守派の大物、パトリック・ブキャナン氏が『病むアメリカ滅びゆく西洋』(邦訳=成甲書房)で指摘しているように、この「新しい共産主義」に戦略的筋道を与えたのが、ハンガリーのジェルジ・ルカーチとイタリアのアントニオ・グラムシです。彼らは主要な敵をキリスト教に基づく西洋文化、特にその家族制度に置きました。基本戦略はまず文化変革で次に権力奪取。戦術は制度の転換で、映画・芸術、教育、メディアを牛耳り文化教育制度を手中に収めるものでルカーチは実際、過激性教育などの政策に携わりました。

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 グラムシが盟友トリアッティと共にプロデュースした「構造改革路線」は、イタリアを中心に浸透し、後に日本でも旧民主党の菅直人政権で政治中枢を牛耳ることになったのです。ルカーチらが関与しフランクフルト大学に設立された「社会科学研究所」が、ホルクハイマーを中心に「フランクフルト学派」として「発展」していきます。

 この学派の考えは従来、それほど主流視されてこなかったにもかかわらず、「文化共産主義」を考える上で非常に重要と言えるのは、この学派がフロイト主義とマルクス主義を結びつけることで、より「強力」な理論を築き上げます。W・ライヒとH・マルクーゼは、権威主義的家父長制打倒とセックスによる革命を唱え、性解放の嵐が全米に吹き荒れました。

ハード革命からソフト革命への転換
 このフランクフルト学派の考え方を更に「発展」させたものこそ、「構造主義」「ポスト構造主義」等に代表される「フランス現代思想」です。現象学派から実存主義ヒューマ二ズムが生まれ、マルクス主義と結び、ボーヴォワールを起点に20世紀フェミニズムがポストモダン思想に連結。デルフィはミッテラン社会党政権下で女性抑圧基盤(家父長制と文化伝統など「男女のらしさ」を形成するジェンダー)を破壊する政策、つまり専業主婦否定と伝統的文化、家族制度の破壊を促進した政策を実施。

 21世紀以降、LGBTこそ女性以上に抑圧された存在として脚光を浴び現在に至ります。実は図の「フランス現代思想家」のうち、R・バルト、M・フーコー、G・ドウルーズらはゲイであり、特にフーコーは、同性愛者の権利運動を展開し、その弟子筋にあたるのが、「反TERF運動」の理論的支柱のJ・バトラー米コロンビア大教授です。

 加えていえばN・チョムスキーやE・サイード、A・ネグリ、S・ジジェクら著名な左翼思想家たちは、「ポストコロニアリズム」「カルチュラル・スタディーズ」「キャンセル・カルチャー」の旗を掲げ、これらの思想を紛れもなく継承しています。
 そしてフランクフルト学派の「批判理論」から「批判的人種理論」が生まれ、今日の「ブラックライブズマター」や「アンティファ」の活動につながるのです。

 この「21世紀の共産主義」と言える「共産主義の新しいカタチ」は、ターゲットを国家の基幹部分ではなく、より根源的な文化・宗教、つまり、「ハードの革命」から「ソフトの革命」へ路線転換したのです。国民の文化さえ解体させてしまえば、国家体制は自ずから変わらざるを得ず、逆にいくら国家体制の下で法律や制度を変えても、構成者の考え方や価値観が変わらなければ、「革命」は成就できないと見たのです。

「思想新聞」2024115日号より

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